「反比例の例」を思いつく限り挙げ始まった小学生の生徒さん

また、当教室の授業の様子を公開いたしますね。ご本人および親御さんには掲載の許可をいただいています。また、途中で出てくる大人の生徒さんにも掲載の許可をいただいています。
昨年(2023年)の頭に入門なさった小学生の生徒さんです。入門時、3年生で、現在はそれから2回、進級され、5年生です。この話は、数か月前の授業のことだと思います。
その生徒さんは、月に1度、「一話完結」のお話をするという関係にあります。あるとき、比例と反比例の話をしたのです。この生徒さんは、まだ比例も反比例も習っておられませんでした。私が「比例」として「倍にしたら倍になるもの」と言い、例を挙げてもらいますと、驚いたことに、身のまわりにあるありとあらゆる「比例の例」を挙げ始まられたのです!私のほうが勉強になることばかりでした。ノートを取るべきだったと思っています。ひとつ覚えているのが「草の成長」です。倍の時間が経過すれば、草は倍の長さ、伸びるのかもしれません。
ついで、「反比例」として「倍にしたら半分になるもの」と申し上げ、例を挙げてもらいますと、これこそノートに取るべきでしたが、この生徒さんは、ありとあらゆる反比例の例を挙げ始まりました。それは壮観でした。すごい例としていまでも覚えているものとして「重力が倍になったら動きが半分になるかも」とか「空気の体積が倍になったら濃さが半分になる」などがありました。奮っている例です。このほか、あらゆる反比例の例が出ました。
ある別のとき、ある大人の生徒さんと、反比例について考えました。その生徒さんは「時給1,000円で8時間働くとき、働かなかった時間ともらえる給料は反比例しています。2時間働かなかったらもらえる賃金は6,000円」と言っていました。確かに片方が増えると片方が減る関係にありますが、これは反比例していませんでした。働かなかった時間が倍になると、もらえる賃金が半分になるわけではなかったからです。
(これをもって、この大人の生徒さんを「賢くない」と思うのは早計です。賢い人というのは「決して間違ったことを言わない人」のことではないからです。「はっきり間違う」のは賢い人の特徴です。この生徒さんも非常に賢い生徒さんです。)
あるとき、ツイッター(X)で、「直観を裏切る数学にはどのようなものがあるでしょうか」と書いている先生がおられました。私が思い出したのは、私自身が比例と反比例を学んだ小学校時代のことです。比例のグラフが右肩上がりの直線になることは想定内でした。私は反比例のグラフは右肩下がりの直線になると思っていました。しかし、実際には、確かに右肩下がりにはなりましたが、そのグラフは曲がった線になりました!これは「直観を裏切る数学」でありました!
さて、その小学生の生徒さんの話に戻ります。あまりにも秀逸な反比例の例が出続けるので、ついに私は以下の例を思いつきました。まんじゅうが1個あって、それを2人で分けたらはんぶんこです。3人で分けたら${\frac{1}{3}}$個です。これが最も根本的な反比例であった!勉強になります。私は当教室で、教えているようで、じつは自分が勉強になっているのでした。
ありがたい生徒さんです。これからもご一緒に算数・数学について学んでいけたら、と願っています。
最後に、1年近く前の、この生徒さんについて書いた記事のリンクをはりますね。
