「比例と反比例」を根本から理解なさった小学生の生徒さん

また、当教室での授業の様子を紹介させていただきますね。公開に当たり、ご本人様と親御さんの許可は得ております。

小学校のテキストに沿って、学びを進めておられる小学6年生の生徒さんです。学校で使っている教科書に沿って学んでいます。昨年末から「比例と反比例」という単元に入りました。しかし、そのころ、この生徒さんは、比例について、あいまいな理解しかしていませんでした。問題は解くことがおできになります。お姉さんと妹が、マラソン大会で、一定のスピードで走ったときの、時間差や距離の差などは正確に計算できます。しかし、私には、このお子さんが、根本的には比例や反比例を理解していないことが手に取るようにわかっていました。ただし、それをご本人に伝えるのは至難でした。昨年末から空回りが続きました。その生徒さんには「わかる」「だいたいわかる」「なんとなくわかる」「かなりわからない」「ちんぷんかんぷん」「その他」のなかで、最も自分の気持ちに近いものを選んでいただいたりしておりました。その生徒さんは、意外にも「だいたいわかる」とか、あるときには「ちんぷんかんぷん」を選んだりなさっていました。これはお互いに「わからない」「どこがわからないのか、わからない」状況だろうと思いました。

しかし、この生徒さんのありがたい点があります。どうやら、私にかなりゆだねておいでなのです。この生徒さんには信頼してもらえている、という実感があります。親御さんもいい意味で放任主義的で、あまりわれわれの授業に入ってこられません。ありがたい親子だと思いました。

それにしても、ここであくまで理解できるまで待つか、それとも、もうだいたいわかったし問題は解けるしで、先に進むのか、の判断は微妙でした。私も悩みました。しかし、結果として待ってよかったのです。この生徒さんは、2月の授業で、「比例」をはっきり認識した回がありました。それも、手に取るようにわかりました。いわば、「比例」について、だいぶ「解像度を上げ」て来られたのです。ほんとうに、待ってよかったです!この生徒さんは、かなりはっきり「比例」「反比例」を理解なさったのです。

その理解度は、おそらく「比例」するものから、比例しない(するとは限らない)ものの変化率、すなわち、いずれ高校2年生で習う「微分」を見通したような理解のしかただと思いました。じつは、小学校の算数の教科書は、そこまでの視野をもって執筆されているのですが、おそらく多くの小学校の先生は、そこまで視野に入れて指導してはおられないのだろうと思います。(東大の大学院で数学を専門に学んだ私から小学校算数も習えるところが当教室の長所のひとつだろうと思います。)

本稿執筆時点が2024年3月4日です。間もなくこの生徒さんは小学校を卒業なさり、中学校に入学なさいます。習うものが算数から数学に変わります。いよいよこれからが楽しみな生徒さんです。これからもご一緒に学んで参りたいと願っております。

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