専門でない人に助けてもらえる
私に発達障害の診断がくだったのはいまから7年前、40歳のときです(2016年5月です)。いま思えばこれは生まれついての障害でした。47年前には発達障害という言葉がなかっただけです。また、20歳のときには最初の統合失調症の症状を発症しています。これは典型的な発達障害の二次障害であったわけですが、とにかく発達障害、精神障害とそろってから30年近くが経過して、ようやく障害者手帳を取得し、はれて障害者となったわけです。
障害者福祉に頼った最初が、2017年11月でした。そのころから、もう(そのときの職場は)勤まらないと思っていたのです。2018年には第2回ダウン、2020年には第3回ダウンを経験しました。福祉に頼るうえでだんだん気が付いて来たのは、「専門ではないけれど助けてくれる人」の存在の重要さでした。たとえば、そのころは私は仕事を休んでいたものの仕事を失ってはいませんでした。休職中だったのです。しかし、「職を失った人向けの福祉です」とうたっているところは、仕事についている人は助けてもらえないのが原則でした。しかし、2020年の暮れに頼ったある障害者福祉の人は、確かにうちでは助けられないけれど、と言いながら、職を失っていても頼れる福祉一覧の紙を出してくれました。そこで頼った障害者福祉でさらに紹介されたところが非常に親切な人のいるところで、ずいぶん助けられました。たったいまも、その就労移行支援事業所という福祉のパソコンでこの記事を書いています。
たとえば、私の教室が忙しくなってきたころ、スケジュールを管理するアイテムとして、グーグルカレンダーを教えてくれたのはその就労移行の相談員のかたでした。そのうち私はお金の管理もする必要に迫られて「エクセルでグーグルカレンダー的なものはないですか」と人に質問し、スプレッドシートを知りました。そのうちグーグルミートも覚え、ようやく、Gmailも含めて、それらはみんなグーグルのサービスであったと認識いたしました。とにかく、最初にグーグルカレンダーを教えてくれたのはその障害者福祉の相談員のかたでした。
逆の立場からこの現象を見る機会がありました。ある結婚相談の事業をしているかたのお話です。ときどき、結婚相談以外の相談がくるそうです。そういうのをいかに断らないか、という話をしておいででした。「うちは結婚相談所です」といってシャッターをおろすのは簡単なのでしょう。ちょうど私が「うちは仕事を失った人向けの福祉です」と言われてシャッターをおろされるのに似ています(いまは失っていますけど、たったいまの私のネックは、ある程度の収入がある点です。それを理由に私は障害基礎年金の診断書を書いてもらえないでいます)。ある市に行って、福祉に頼ろうとしたら、私がその市の市民でないということの一点張りでシャッターをおろされた経験もあります。若者を助ける福祉に行ったら私は高年齢を理由にシャッターをおろされるかもしれませんし、生活費で困っていても障害者福祉の窓口では助けてもらえないのかもしれません。しかし、困っている人というのは、多面的に困っているのであって、障害が理由で生活困窮していたりするものです。
なにが言いたいかと言いますと、私自身、専門外の人にしばしば助けられてきたのです。皆さんも経験はありませんでしょうか。家電量販店のエアコン担当の人が、パソコンにも詳しくて助かったこととか、内科のお医者さんが皮膚科にも少し詳しくて助かった経験とか…。
当教室は算数・数学教室です。私の学生時代の専門は位相幾何学でした。しかし、なるべく最初のお話はお聴きするようにしております。何でも屋ではないため、看板に「なんでもやります」とは書けません。私にできることは限られています。それでも、できるだけ、専門外のことでもご相談に乗り、おひとりおひとりにあわせて、お話をうかがいたいと思っております。専門外の人に助けてもらえることはしばしばあります。