私のどろぶね乗りぶりを示す20歳、21歳ごろのエピソード2つ(か3つ)、およびクレヨンしんちゃんの新しい映画の案

私は長いこと「どろぶね」に乗って来ました。それを示す20歳か21歳ごろのエピソードを2つ、紹介します。いずれもフルートに関することですが、どうぞお聞きください。
ひとつは、1996年3月23日のことです。私はまだ東大オケの団員でした。この日、大岡山ルーテル教会という、東工大の近くの教会で、室内楽のコンサートが開かれました。おもに東大オケ、東工大オケの、私も含め当時の学部2年生が、こっそりと(?)開いたコンサートでした。先輩がたに聴かれて叱られないためと言いますか、自分たちでたっぷり楽しむためのコンサートです。仲間のひとりが、「教会ってこういうとき格安で会場を貸してくれるんだよ」と言いながら教会を会場に取っていました。当時のチラシにはプログラムが
モーツァルト クラリネット五重奏曲イ長調
J.S.バッハ 2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 ほか
とだけ書かれています。「東大オケに在団するへたなフルート」であった私も仲間であり、モーツァルトのフルート四重奏曲ニ長調かなにかで出演することを打診されました。しかし、私は断ってしまったのです。理由は、いま考えると明らかです。どろぶねに乗っていたからです。どろぶねに乗った人は、こういう「ありがたい」出番も断ってしまいます。自分がへたなのが恐ろしいのです。この日は、先輩の恐ろしい目(耳)から解放された仲間ののびのびした名演奏を聴いています。みんな、すばらしかったです。
では、48歳のいま、もし、モーツァルトのフルート四重奏曲で出演の依頼をいただいたら?受けるか?・・・なかなか難しい問いです。あれから28年。まだ私はどろぶねに乗っているのかもしれません。
もうひとつはこれより1年と少したったときの話です。久元ゆう子さんというプロのピアニストが、当時、私の住んでいた学生寮で、ピアノのミニリサイタルをすることになっていました。1997年5月18日のことです。前もって、久元さんからの伝言を、寮の人から聞いていました。フルートを演奏する学生さんはいませんか。モーツァルトの協奏曲で共演しましょう。そのようなお誘いでした。
これも私は断ってしまったのでした。これもせっかくのチャンスを!なぜ断るかと言ったらどろぶねに乗っているからです。そんなにたくさんの人が聴いているところで、フルートなど吹けないからです。このあとも、記事にしたことがありますが、1997年7月27日、ある社会人オケでマーラーの交響曲第1番をやることになったときも、私は1番ピッコロが当たっていたのに辞退しています。アンコールの「スターウォーズ」のピッコロも当たっていたのに辞退しています。これは、この記事を書いたとき(2024年3月15日、まだ3か月たっていない!)には気づいていなかった点です。(あとで記事のリンクをはりますね。)
さて、寮における久元さんのミニリサイタルに戻りましょう。以下のようなプログラムでした。
ショパン 革命のエチュード
ショパン 小犬のワルツ
ヴァイセンボルン ロマンス
モーツァルト トルコ行進曲
モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ ホ短調
ショパン 別れの曲
アンコール ロングバケーション
このヴァイセンボルンのロマンスという曲は、ある後輩がファゴットで吹きました(彼はそういう勇気があったのですね!)。ヴァイセンボルンはファゴットの世界で有名な「業界作曲家」だと思います。東大オケでもヴァイセンボルンのエチュードを練習するファゴットの人はしばしばいたものです。このたび、27年ぶり2回目にこの曲をYouTubeで聴きました。いい曲ですね!
モーツァルトのヴァイオリンソナタを弾いたのは他の棟の学生さんであったため、知らない人でしたが、同じように寮の学生で共演した人でしょう。もちろん全楽章をやったわけではありますまい。第1楽章だけとか?
もうひとつ、思い出すとすれば、やはり寮の後輩からの依頼で、バンドで、フルートで参加して欲しいと言われたときがありました。やはり断ってしまいました。同じ理由です。いま思えば。
改めて、音楽をやるにあたって、どろぶねに乗っていると、どんなにつまらないことでしょうか!私の日記にはしばしば(フルートを演奏して)「なぜかやたらほめられた」という言葉が出て来ます。私は自己認識よりずっとフルートがうまかったらしいのです。しかし、どんなにうまくてもどろぶねに乗っていたら意味がない。どれだけへたでも、大船に乗っていて、頼まれれば喜んで弾く。(頼まれなくても喜んで弾く。)それこそが音楽の楽しみ、ひいては人生の楽しみではないでしょうか。
クレヨンしんちゃんは「大船乗り」に見えます。仮にクレヨンしんちゃんがあしたカーネギーホールのピアノ・リサイタルでピアノを弾くことになっていて、まったく練習していなかったとしても、しんちゃんは泰然としていそうです。クレヨンしんちゃんを見習いたいです。
そこで、クレヨンしんちゃんの新しい映画のプランを思いついたのです。以下のようです。
しんちゃんはどういうわけか、カーネギーホールでピアノのリサイタルをせねばならなくなりました。しんちゃんは「だいすきなパン」(ミレド、ミレド、ドドレレミレド)くらいしか弾けません。みんな高いチケットを買って聴きに来ます。大ピンチ!しかし、しんちゃんはまったく動揺せず、前日もたっぷり眠り、当日は舞台で「ぞうさん、ぞうさん」かなにかをやって大喝采!リサイタルを大成功に導く!という映画です。これ、作りようによっては一大感動巨編の映画になりませんかね?
最後に、そのマーラーの1番、「スターウォーズ」を演奏したときの記事をはりますね。
