酒井淳チェロ・リサイタルを聴き、ジュネス・ミュジカル・シンフォニーオーケストラでオルフの「カルミナ・ブラーナ」を聴いた(1997年10月26日)

2回目の学部3年のころのことです。ある日、東大オケの後輩が、「ジュネス」というアマチュア学生のためのオーケストラのオーディションに合格し、演奏会に乗る話を聞きました。喜ばしいことです。そのころ私は東大オケの団員ではありませんでしたが、聴きに行くことにしました。
「ジュネス」というのはどういうオケかよくわからないのですが、いまここにあるプログラムによりますと、NHKが後援しており、当時、東京のアマチュア学生オケの選抜メンバーからなるアマオケとしてとても有名なオケでした。私はこのときしかジュネスの生を聴いていませんが、テレビ放送を見たことはあります(尾高忠明さん指揮のバルトークの「管弦楽のための協奏曲」。東大オケの先輩の姿を見ました)。また、ずっとのちに教会で知り合った仲間がジュネスのメンバーであったと知ったこともあります。
本番の5日前に、その後輩から、招待券を当日預かりのチケットとしてもらいました。当日は行くだけでよいです。メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲と、オルフの「カルミナ・ブラーナ」をやるそうでした。
それで、私自身はある社会人オケのメンバーだったのですが、この日の前日の練習のときに、ある団員のかたから、翌日の「酒井淳 無伴奏チェロ・リサイタル」の招待券をいただいています。私は、時刻が重なっていないことを確認し、その日は演奏会のはしごをすることにしたのでした。
まず、午前中は少し遠くの区立図書館の往復をしています。午後、会場であるカザルスホールの場所を調べ、神保町へ行きました。古本市をやっていました。道がわからず迷い、本屋さんに入って、売っている地図を見て場所を突き止めました(当時はインターネットがほとんどなく、もちろんスマホもなく、道を調べるとしたら、このように紙の地図で調べるのが一般的でした)。間に合いました。以下のようなプログラムでした。
リンドべルイ ストローク
ミュライユ アトラクトゥール・エトランジェ
アペルギス 四つの叙唱
バッハ 無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調
リゲティ 無伴奏チェロ・ソナタ
いま聴いても知らない曲ばかりですが、当時の日記には「すごくうまかった」と書かれています。インターネット検索によると酒井淳さんは1975年のお生まれ、当時、22歳くらいだったことになります。私も1975年の生まれ、当時、21歳であり、同年代のプロのチェリストの演奏を聴いたことになります。現在も酒井さんはご活躍中であるようです。お互いに49歳くらいになります。私もがんばりたいものです!
さて、カザルスホールをあとにし、駒場東大に行き、つぎのジュネスまで時間があるため、そのころ友人に教わった、川沿いの道を歩きました。暗くなって、寒くなっていましたが、歩きました。かなり歩き、花屋さんで花を買いました(招待券で行くため)。場所は昭和女子大学人見記念講堂でしたが、時間に余裕をみて着いてみると、なんと私は開演時間を1時間間違えており、メンデルスゾーンの協奏曲の頭が少し欠けてしまいました!たくさん時間をつぶした挙句に遅刻したので、すごくくやしい思い出となっています。
以下のようなプログラムでした。
メンデルスゾーン バイオリン協奏曲ホ短調 作品64
カール・オルフ 「カルミナ・ブラーナ」
渡邊一正(指揮者)
田中晶子(バイオリン独奏)
蒲原史子(ソプラノ独唱)
五郎部俊朗(テノール独唱)
福島明也(バリトン独唱)
ジュネス・ミュジカル合唱団
ジュネス・ミュジカル・シンフォニーオーケストラ
当時のプログラムを見ると、合唱には知っている名前はありません。オケにはときどき知っている名前があります。東大オケの先輩、同輩、後輩の皆さんでした。
私がオルフの「カルミナ・ブラーナ」を生で聴いた唯一の機会だと思います。また、たとえば指揮者の渡邊一正さんを聴いた唯一の機会でもあると思います。
バイオリンのソリストの田中晶子さんは、1974年のお生まれ、やはり酒井淳さんや私と同世代の音楽家だったことになると思います。みんな22歳くらい。田中晶子さんで検索すると、同じお名前の別のバイオリン奏者のかたもおられるようですが、注意して検索結果を見ますと、現在、田中さんはNHK交響楽団の団員さんであられるようです。私もがんばらねば!
また、この日の帰りには、たくさんの東大オケの先輩や後輩に会っています。皆さん聴きにこられていたのですね。皆さんの進路の話など聞いています。私も悩める学部生でしたので。
帰ってから数学の勉強をしようとし、うまくいかずにやめています。「ほんとに今日はよく歩いた。長かった」と日記には書かれています。充実した学部生のある日のことでした。
(サムネイルに、当日の酒井淳さんのリサイタルのチラシを使わせていただいております。チラシの著作権の消滅は確認しております。教えてくださったルンデさんには感謝です!酒井淳さんの話が前置きのようになってしまっていますが、実際には酒井さんのコンサートは、自分と同じ21歳くらいの若者がカザルスホールでリサイタルをするということで、非常に鮮烈な印象となって残っています。東大オケでもうまい先輩や同輩の演奏は聴いていましたが、さすがに酒井さんは別格でした。酒井淳さんもこのときしか聴いていませんが、ますますの活躍に期待したいところです。)