30年前に出会ったとてもおもしろい東大入試の過去問

いまから30年前、私は18歳の高校3年生で、1月にセンター試験を終えて、2月はもっぱら二次試験の勉強をしていました。「赤本」と言われる、東大の入試の過去問が載った本を見て、本番と同じように制限時間を測って、自宅の机で解いてみていました。それで、数学の過去問で、とても印象に残るおもしろい問題があったのです。その思い出を書きますね。

「平面上にあいている、1辺の長さが${1}$である正方形の形をした穴を、1辺の長さが${1}$である正八面体が、ふちを触ったりすることなく通り抜けることはできるか。できるならばやりかたを示し、できないならばできないことの証明をせよ」というような問いでした。(記憶で書いていますので字句通りではないと思います。)

私はまず、以下の図のように考えました。

このように考えますと、穴のふちを触るならば、通り抜けることができます。しかし、この問題が言っているのはそうではないわけです。ふちを触らないで通り抜けることができるか、聞いておられる問いなのです。

それでしばらく考えているうちに、気が付きました。通るぞ!

以下のように考えたのです。

その、正方形の穴があいている平面と、正八面体の面を、平行にしました。その状態ならば、ふちに触ることなく、通るのです!

正八面体を、面(正三角形)に平行な平面で切った断面図を以下の図に示します。このようになります。

このように、断面は、すべての角が${120^{\circ}}$であるような六角形となります。この六角形のひとつの辺の長さを${a}$としますと、${0<a<1}$であり、あとの5つの辺の長さは、${a}$があと2つ、残り3つは${1-a}$となるわけです。そして、最も長い対角線の長さが${1}$となります。

すなわち、この六角形を少しナナメにすれば、1辺の長さが${1}$であるような正方形の穴は通るのです!

おもしろかった!

これは、受験を控えた2月のころになりますが、解けておもしろかった私は、思わず文房具屋さんに行き、模造紙を買ってきて、正方形の穴と、その穴と同じ長さの辺をもつ正八面体を作り「おお!通る!通る!」とやってみて喜んだ記憶があります。

創意工夫のある問題ですね。どの先生が作られた問題でしょうか。いま考えたら、院生だった時代に知っている先生だった可能性は高いと思いますけどね。いま思い出しても楽しい問題でした。本日は以上です!

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