保護者のかたへは授業の振り返りをメールでお送りします
当教室では、しばしば保護者のかたと子供の生徒さんからのお問い合わせをいただきます。最初は、親御さんがご不在のときに、その日の授業の簡単な振り返りを親御さんにメールしていたのですが、だんだん好評なサービスとなっていき、いまでは、基本的にお子さんが生徒さんである場合(つまり、授業をお受けになるかたと、月謝をお支払いになるかたが異なるかたである場合に)、授業の振り返りのメールをお送りするサービスはおつけするようになりました。
以下に、ある日のある生徒さんの授業でのご様子を、保護者のかたにお送りしたメールを、ご本人様および親御さんの許可を得て、掲載いたしますね。サンプルとして参考にしていただけたらと思います。
Aさんというのが生徒さんのお名前です。Aさんは中学生で、小学校の「円周率」の学び直しをしておいでのところです。以下のメールで、だいたいAさんの傾向はつかめるのではないかと思います。なお、保護者のかたは親御さんで、Zoomで録画をしておられます。「わくわく算数」とは啓林館の算数の検定教科書です。
以下、私が授業後に親御さんにお送りしたメールです。
本日もありがとうございました。
最初Zoom、しばらく電話、最後のほうでまたZoomとなりました。
言い訳になりますが、本日は睡眠不足で、最初のZoomでは私のあくびが写ると思います。まことに申し訳ございません。電話の時間帯に部屋を歩き回り、眠気を飛ばしました。
さて、本題です。本日はAさんの「円周率」でした。
Aさんは、直径の長さと円周の長さが比例するのは当たり前だとおっしゃいました。
直径の長さが2倍となると円周の長さは2倍となり、直径の長さが3倍となると円周の長さは3倍となる、なぜなら直径と円周は比例しているから、とおっしゃいました。
しかし、これは実は論理が逆転しており、直径の長さが2倍となるとき円周の長さが2倍となり、直径の長さが3倍となると円周の長さが3倍となるため、(おそらく)直径と円周は比例しているのだろうと、そういうふうに論理が進んでいくものでございます。
それで、そんなに円の直径と円周が比例するのが当たり前なら、円の直径と面積は比例するのか、おたずねしました。比例するとおっしゃいました。
そこで、実際に計算をしてもらったのですが、どうも腑に落ちたというより、私によってむりやりに納得させられている感じがあって申し訳なく思いました。
それで、それでもやはり、直径と円周が比例するのが当たり前かどうか、おたずねすると、当たり前だとおっしゃいました。
そこで、私は画面で、手元にあった直径が4センチくらいのクリーム(手でぬるリップクリームなのですが)をお見せし、これの倍の直径の長さの円の円周の長さは、これの円周の長さの、倍かというのは当たり前かおたずねすると、当たり前でないとおっしゃいました。
Aさんの知性を感じたのは「当たり前は人それぞれだから」というお言葉でした。これはまことにその通りです。
さて、これ以外に、Aさんの弱点と思われるところがありましたので、少し書きますね。直径が1センチだとすると半径が0.5センチで、0.5センチかける0.5センチは、2.5というようなのは、単に小数点の打ち間違いのケアレスミスのように思えますが、どうもこういうAさんのミスは、本質的ななにかを示しているのではないかと。つまり、1より小さい数と1より小さい数をかけて、2より大きくなるはずはないからです。重箱のすみのようにお感じになるかもしれませんが、こういったことがときどきあります。
もうひとつ例を挙げますと、面積を述べた直後に、単位として「センチメートル」とおっしゃったりするのです。面積の単位として長さの単位を言うのは、これも「平方」をつけ忘れただけのケアレスミスのように見えて、なにか本質的なものがそこにある気もするわけです。つまり、Aさんも、このようななにか本質的なものを抱えておられるのかな?と思ったりもいたします。
さて、いまやっているのは要するに「円周率とはなにか」ということです。円周率の定義です。前にAさんは、長方形の定義も、平行四辺形の定義も言えなかったことを思い出しました。長方形の定義を習うのは小学2年生です。(わくわく算数だと、2年生の下巻です。4つの角がみんな直角の四角形。)平行四辺形は4年生の上巻です。もともと定義に弱い傾向にあって、それで円周率の定義はなかなか厳しいものがあるのかもしれない、とも思いました。
本日は以上です。またよろしくお願い申し上げます。いつもありがとうございます。
・・・と、このようなメールを、保護者のかたには、毎回、授業後にお送りしております。好評をいただいているようですので、ホームページ(ブログ)に載せました。お子さんのご入門を検討なさっておられるかたには参考にしていただけたら、と思います。