小学4年生の算数を学んでおられるとても賢い大人の生徒さん

また、当教室での授業のようすを紹介させていただきますね。公開に当たり、ご本人様の許可は得ております。

昨年(2023年)の秋にお問い合わせをくださった大人の生徒さんです。大人の数学の学び直しをご希望でした。高校から学び始まったのですが、小学校の算数に戻るのはかまわない、とおっしゃる生徒さんでした。

それで、高校の数学を、数回、学んだのちに、ご相談の会を設けました。当教室では「はじめましての会」が無料相談であるのみならず「方向性を考える会」も無料相談です。ご一緒に、方向性について考えました。私は、この生徒さんは、なんと申しますか、もともとお持ちの頭脳の明晰さについては、すごいものがあると思った一方で、数学的な訓練は足りておられないと思ったのです。私は、この生徒さんに、小学校の算数に戻ることを提案いたしました。話し合いのすえ、小学4年生の算数に戻ってみることになりました。

小学4年生の算数の教科書の最初で「角とその大きさ」についてご一緒に学びました。その生徒さんとは「角度、すなわち角の大きさを数で表すこと」から、「数で表されるもの」という話になりました。数で表されるものを考えるときは、数で表されないものを考えるのが有効です。(比例を考えるときは比例しないものを考えることが役立ちます。たとえば多様体を学ぶときも、多様体でない位相空間を考えることがよい勉強になります。)「数で表されるもの」という話題になりました。前にも当ブログで書きましたが、「ひとの賢さを数値化したものがIQであろうか」という話を私は出しました。「人間の賢さの数値化はIQ」という話を私はよく聞くからです。その生徒さんは、以下のようにお答えになりました。

IQを測っているのは、賢さを測っているのではなく、IQを測っているのですよね。身長を測っているようなもので。
傾向はあるでしょうけどね。

これは、この生徒さんの「賢さ」を物語るようなエピソードだと思って紹介した次第です。人間の賢さは数値化できないことを前提としたご発言です。極めて鋭いと思いました。たしかにIQを測るとは、身長を測るようなものであり、人間のごく一面の数値化に過ぎません。

さらに、この生徒さんの賢さを物語るもうひとつの発言があります。「傾向はあるでしょうけどね」というお言葉です。私はあるとき「学歴と金儲けはまったく関係ないよね」というインターネットの記事を読んだことがあります。確かに、学歴がとても低くて、たくさんお金を儲ける人がおられ、また、とても学歴が高くて、ほとんどお金の稼げない人もおられます。しかし「傾向」としては、学歴が高い人ほどお金を儲ける傾向にあるでしょう。学歴と金儲けのあいだには正の相関があると考えられます。(でなければこんなに受験勉強は流行らないでしょう。)この生徒さんは、IQと賢さのあいだに、「傾向」があることは認めておられたのです。極めて鋭いですね。

この生徒さんとは、このような授業を続けております。ご入門からまだ数か月ですが、すでにいろいろ私も学ばせていただいております。当教室では、このような授業もあります。学校の成績にはあらわれないような賢さをお持ちのかたに出会えるのは、私にとって喜びです。ありがたい出会いだと思わされています。引き続きこの生徒さんとの授業をご一緒したいと願っています。

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