岩城宏之さんの思い出

以下の記事は完全にクラシック音楽オタク話です。それでもかまわないというかたはどうぞお読みくださいね。

岩城宏之さんという指揮者はご存じでしょうか。有名な指揮者です。2006年に亡くなりました。私は1度だけ、岩城さんの指揮する演奏会を聴いたことがあります。そのときの記憶を、当時の日記およびプログラムからたぐりながら、書きたいと思います。

2004年6月11日のことです。会場はサントリーホール。東フィル(東京フィルハーモニー交響楽団)の定期演奏会でした。コーラスに入っておられるかたの招待券でした。

プログラムは、マルティヌーの「ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画」、ヤナーチェクのシンフォニエッタ、ドヴォルザークの「新世界」でした。

席は、P席と言われる、オーケストラよりも後ろの席であり、座ってみると、指揮者の岩城さんの目の前であり、岩城さんの表情はよく見えるのですが、オーケストラの皆さんはほとんど見えないのでした。

(これは招待券でしたが、私は学生時代、しばしばサントリーホールのP席のチケットは買いました。安いからです。オーケストラのバランスがよくないわけです。最も手前に打楽器と金管楽器がいて、ホルンのベルはこちらを向いており、はるか向こうで弦楽器の皆さんがそよそよと弾いておられるのでした。)

団員さんの顔は見えないという状態でしたが、かろうじて、コンサートマスターが荒井英治先生であることは確認できました。荒井さんは、あるアマチュアオーケストラでショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番を聴いたことがあり、またずっとのちに、あるプロオケでのリムスキー・コルサコフの「シェヘラザード」のソロを聴いたこともあります。

この年はドヴォルザーク・イヤーであり(没後100年)、それでこのようなプログラムになったと考えられます(「新世界」と、東欧プログラム)。

マルティヌーは意外にもこれが日本初演でした。あとで私の友人に聞いたら、彼はこの曲のCDを持っていて、よく聴いているとのことでした。そのような作品が、21世紀に入るまで、日本で1度も演奏されていなかったのは意外です。とてもいい曲です。

ヤナーチェクはずっと有名な曲ですね。私も学生時代からあこがれていた曲です。一時期、村上春樹の小説に出てきたようで、話題になったこともありました(私はその小説は呼んでいませんが)。とてもいい演奏でした。私がこの作品をプロの演奏で生で聴いた唯一の機会です(もう1回、あるアマチュア学生オケで聴いたことがあります)。

後半のドヴォルザークの「新世界」は、多くのかたがご存じの、とても有名な曲だと思います。しかし、考えてみると、私はこの曲を、プロの演奏で聴いたのは、この1回だけとなります。のみならず、ドヴォルザークの交響曲をプロの生演奏で聴いた唯一の機会になると思います。「岩城宏之さんが新世界を振る」というのは「とても有名な落語家が『時そば』をやる」といった感じであると思われ、いま考えると貴重なチケットをいただいたものだと思いました。第4楽章の冒頭のテンポが非常に速くてびっくりしたのを思い出します。

この演奏会にはアンコールがあり、ドヴォルザークのスラヴ舞曲op.72-2が演奏されました。

私は、東フィルを聴いたのもこれが唯一の機会です。東フィルの先生に木管分奏のご指導をいただいたことは何度もありますが…。

いろいろな意味で貴重な機会でした。指揮をしている最中の岩城さんの笑顔が印象的でした。いい思い出です。

(※サムネに当日のプログラムの表紙を使うことは東フィルさんの許可を得ました。)

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