教科書の記述がわかった中学生の生徒さん

また、当教室での授業の様子を公開いたしますね。ご本人様および親御さんの許可を得ています。
以前にもご紹介させていただいた中学生の生徒さんです。私の中高の教員の経験からすると、ごく普通の中学生の生徒さんです。
あるとき、高校の教科書を使って先取りの勉強をすることになりました。その生徒さんは、私の話は「はい」「はい」とお聞きになります。そして演習問題を解いてもらうと、解けてしまうのでした。しかし、それでこの生徒さんがほんとうにわかっておられるかはまた別問題なのでした。以下のようなことがありました。私の出したある例を「6の約数」だとお思いになったようなのですが、うまく言葉になりません。われわれは、小学校5年生の「整数(倍数と約数)」まで戻ることになりました。
私は、親御さんへのメールで「大学院のセミナーの形式」を提案いたしました。数学の大学院では、セミナーというものをやっています。数人が黒板のある小部屋におり、学生が先生のように発表し、指導教官の先生が学生のように座って聴いているのです。そのほか、同じ研究室の先輩・同輩・後輩も聴いています。つまり、小学校5年生の「整数」の内容について、その中学生の生徒さんに、あたかも先生になったつもりで、私の前で発表してみられることを提案したのです。その日のうちに返信をいただきました。ご本人もやる気になっておられ、次回はぜひそれで、ということになったのでした。
当日は、私は小学校の教科書を開きながら、その生徒さんの発表をお聞きしました。ありがたいことに、私に心を開いてくださっている生徒さんで、物おじせずに、はきはきと話してくださいます。その生徒さんは、倍数を定義しようとして、まず整数の説明をしようとなさいましたが、うまく言葉になりません。
そこはとりあえず認めて通過して、倍数の定義、公倍数の定義です。その生徒さんは、「倍数とは何か」「公倍数とはなにか」「それらはなにに対して定められるものなのか」がはっきりしないのでした。また、その生徒さんは、何度も「最大公倍数」という言葉をお使いになります。私とのあいだで、何度も「最大公倍数とはなんですか」「公倍数のうち最大のものです」というやり取りがなされました。(お読みのかたへ「種明かし」をいたしますと、最大公倍数という概念はナンセンスであるため、普通、学校では習いません。最小公約数もナンセンスであるため習いません。学校で習うのは「最小公倍数」と「最大公約数」です。)
「最大倍数」「最小倍数」ということについてもおうかがいしました。
また「約数」についてもうかがいました。「割り切れる」という概念について考察が必要になりました。「割り切れる」ことを説明するには、「割る」ということの意味がわからなくてはならず、ついに小学校3年生ではじめて割り算を習うところまで戻りました。「割り算とはなにか」という基礎中の基礎に戻る必要があったのです。
その生徒さんの「ありがたいひとこと」を書きます。星くず算数・数学教室のことを「ちゃんと難しい」と表現なさるのです。中学生になって、小学校の算数を学んでいて、難しい計算がたくさん出てくるわけではないのに「ちゃんと難しい」という意味だと思います。私はこの言葉をとてもありがたいものととらえています。
こういう授業を3、4回ほど行なったのちに、親御さんからお聞きしました。最近、その生徒さんは、教科書の「定義が書いてあるところ」と「それ以外の説明が書いてあるところ」の区別がつくようになったとおっしゃっていたというのです。親御さんはブレイクスルーだとおっしゃっていました。ありがたいことです。
この生徒さんとは、ありがたいことに信頼関係が築けています。親御さんとも信頼関係が築けています。親御さんはお子さんに愛情を注いで育てておられる様子がうかがわれます。
このような気づきは、手前みそではありますが、なかなか他の数学教室では得られないものではないかとひそかに自負しております。学校の成績とは関係ありません。どうぞお気軽にお問い合わせをくださればと思います。大歓迎いたします!
