「馬車屋のおやじ」式に具体的に考える大人の生徒さん

また、当教室での授業の紹介をさせていただきますね。掲載に当たり、ご本人様の許可は得ております。
以前にもご紹介いたしました、直観的に微分や積分を理解なさった大人の生徒さんです。その生徒さんは、①高校時代にほとんど数学を習っていない、②受験を控えた高校生でない、という2点によって、微分や積分を直観的に理解なさったのだと思っていましたが、そのほかに大きな要素がありました。ご本人が「馬車屋のおやじ」とおっしゃっている考えのことです。
円周率を考える理由のことです。それはご自身で考えた理屈なのかどうかももうわからないとはおっしゃりつつ、以下のようにご説明くださいました。馬車屋のおやじが、注文に応じて、車輪の直径の長さから、車輪にはるゴムの量(?)を計算するのに円周率を使ったと、そういう具体的なイメージをもって数学などを理解するご自身の思考の「型」でした。これが非常に強力なのです。計算するとき、常に具体的なイメージを持っておられ、抽象的な計算に惑わされないのです。これは、微分や積分を、意味を持って理解するのに役立ったと思っています。
引き続き、高校の数学を、三角比、三角関数、三角関数の微分や積分、それから指数、指数関数、対数、対数関数と学んで参りました。三角関数を学ばれたときは、負の角度を習って「やはり角にも負があるのか。面積に負がないのはなぜですか」とおっしゃいました。私は「ここは誰も立ち入ったことのない原始林ではなく、多くの人が通った舗装道路なので、悪くはしないのでついてきてくださいというのが教科書の言っていることです」とお答え申し上げました。ラジアンという単位を学び、三角関数のグラフを学び、${y=\sin x}$を${x}$で微分すると、${y^{\prime}=\cos x}$になるところの「おいしいとこどり」で学びました。とても感動してくださいました。引き続き指数です。これもすべて「馬車屋のおやじ」式で納得しながら進みました。対数に入りました。これは、なかなか直観を裏切る内容であり、「はじめて習う言語のよう」という感想をおっしゃいました。
そして、私自身、大きな気づきがありました。私は、対数の「底の変換公式」の、証明は理解していましたが、私はこの公式の、実感を伴った納得はしていなかったのです!
「私が星くず算数・数学教室に入門したら、これをどう教わるでしょうね」とその生徒さんには申し上げました。その生徒さんは「その発想はおもしろい」とおっしゃってくださいました。でも、情けないことに、私は底の変換公式は、実感を伴った納得をしていませんでした。こういう発見があるところが、この教室をやっていての醍醐味でしょう。私も日々、勉強です。
ありがたい生徒さんです。これからも、お互いに恥をさらしあいながら、楽しく数学を勉強していきたいと願っています。
