「シンデレラは王子様と結婚していつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」

夫婦で片方が「大船」に乗っていて、もう片方が「どろぶね」に乗っていることはあり得ます。たとえば「舌切りすずめ」のおじいさんとおばあさん。おじいさんが大船乗りで、おばあさんがどろぶね乗りです。おばあさんは、すずめに洗濯のりを食べられて怒り、すずめの舌を切ってしまいます!おじいさんは、すずめのお宿をたずねて行って、大歓迎されます。おみやげはつづらです。小さなつづらを選ぶと、中から金、銀、さんごが出て来ます。それを見たおばあさんは、欲に目がくらんでおじいさんと同様にすずめのお宿に行き・・・というような話で、夫婦で片方がどろぶね、片方が大船乗りです。夫婦は生まれも育ちも違うのでこういったことがあり得ます。

そこで、シンデレラです。おそらくシンデレラは、両方とも大船に乗った父親と母親に育てられた、大船に乗ったような子です。しかし、シンデレラの母親は若くして亡くなったと思われ、お父さんは再婚しますが、その新しいお母さんがどろぶねだったというわけです。そのお母さんに育てられたお姉さんもどろぶねです。

上に立つ人がどろぶねで苦しむ人は世の中にはたくさんいます。まさにたった今も、シンデレラ状態で苦しんでいる人はおられましょうし、もう少し広くとって、どろぶね上司のもとで苦しむ大船社員ならたくさんいそうですね。

あるとき、王子様の夜会が催されます。舞踏会です。お母さん、お姉さんは招かれています。シンデレラは、舞踏会に行くことはできません。家で掃除をしていなければならないのです。シンデレラがひとり悲しく家で掃除をしていると、魔法使いが現れるのです。かぼちゃとかねずみは、そのへんにたくさんあった(いた)ものだったのでしょう。魔法使いの力でかぼちゃは馬車になり、ねずみは馬になりました。シンデレラは馬車に乗って王子様の夜会に行きます。当時は、音楽といえば生演奏のオーケストラだったでしょう。シンデレラは王子様と踊りました。深夜の12時が来て魔法が解け、シンデレラは逃げ帰ります。ガラスの靴をひとつだけ落として帰りました。

王子様は、このガラスの靴が足にぴったりおさまる国中の人を探します。シンデレラの家にも王子の使いが来ます。シンデレラのお母さんもお姉さんもくつに足ははまりません。シンデレラはぴったりはまりました。王子はシンデレラをお妃としてお城に迎えます。

こうして、大船王子様と、大船シンデレラは、結ばれます。「以後、シンデレラと王子様はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」と言ってこの話は結ばれます。しかし、私には長いことこの結末に違和感があったのです。

結婚してからが大変ではないのか。子供がぐれるかもしれないし。そもそも不妊で悩むかもしれないし。王子は国を継いで国王となり、シンデレラは王妃となるであろう。いろいろな悩みがあるのではないか。困難に次ぐ困難ではないだろうか。そう考えて、おそらくわずか20歳くらい(だったと思われる)の王子とシンデレラが結婚して「以後、幸せに暮らした」ということはできるのか、と。

しかし、できるのです。確かにこのあと、王子とシンデレラは末長く幸せに暮らしたのです。なぜなら、大船と大船の結婚だからです。

たとえば、確かに生まれてくる子が不登校になるかもしれません。でも、それでも子供はかわいいです。生まれてくる子が重い障害を持っているかもしれません。それでも子供はかわいいです。子供が早く亡くなるかもしれません。その場合は「供養」します。王子様が早く亡くなるかもしれません。その場合も「供養」します。とにかく「もう大丈夫」と思えるのが「大船同士の結婚」でありました。それをこそ「大船に乗ったような」安心感というのではないでしょうか。この物語の結末を読み「いやいや結婚してからが大変でしょう」と思ってしまっていた私は確かに「どろぶね」でした。

それをいうと「進学おめでとう」「進級おめでとう」「卒業おめでとう」「合格おめでとう」「入学おめでとう」「就職おめでとう」「結婚おめでとう」「出産おめでとう」「還暦おめでとう」さらには「誕生日おめでとう」「あけましておめでとう」など、世の中にはたくさんの「おめでとう」があります。これを、先述の私のように「入学してからが大変なのだよ」等と考えてしまうと、あらゆる「おめでとう」は困難の始まりと捉えられることになり、いつまでたっても「ああ、卒業したのだ、(あるいは結婚したのだ、)よかったよかった」と思えません。「自分はいま、幸せ」と思えなかったら、人生の価値はないのです。

どろぶねに乗った人は、いつまでたっても幸せにはなれないのです。なんという「針山地獄」でしょうか!かつて(つい最近まで)の私はそうでした。シンデレラのお話を読んで「結婚してからが大変なのに、『結婚していつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし』なんて」と思っていたのです。大船シンデレラは、大船王子様と結婚して、いつまでも幸せに暮らしたのでした。それをこそ「大船に乗ったような安心感」と言うのでした!

大船に乗ったような安心感で生きて行きたいと願います。襲い来る試練は「大船力」で乗り切りたいです。本日の記事は以上です。長い記事でしたね。ここまでお読みくださり、ありがとうございました!

(サムネイルが白雪姫でごめんなさいね。シンデレラの無料画像が見つからなかったのです・・・)

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