円の方程式を習う前に発見した生徒さん

久しぶりに、授業の様子を公開いたしますね。その生徒さんおよび親御さんには掲載の許可をいただいています。
中学の2年生で入門なさった生徒さんです。それから2回、進級され、現在、高校1年生です。
1年ほど前から、私も中学のころ考えていた、4次元について考え始めました。
あるとき、直線と直線の位置関係について考えていただいておりました。直線と直線は、平面上では「ぴったり重なる」「1点で交わる」「平行」の3種類しかありませんが、3次元に行くと、これに「ねじれの位置」が加わります。これについては、私が昨年9月の講演会の質疑応答のなかで(この生徒さんも聴きに来られていました)、「4次元に行ってももう増えない」という、私が中学生だった当時、自分で自分に裏切られるはなはだしい経験をしたということをしゃべってしまい、この生徒さんには「大ヒント」を与えてしまいました。それから様々な経験をお互いにしました。
先日は、4次元空間内において、平面と平面は、1点で交わるのではないかということをこの生徒さんが考えられましたので、私は、いくつか考えをご提案するなかで(この生徒さんは中学を修了し、最近、高校に入られた生徒さんです)、1次関数のグラフは直線であり、平面上の2直線は1点で交わることは、連立1次方程式の解の組が通常、1組であることと対応するので、その線で考える(方程式で考える)という案を出しました。この生徒さんは、その線で考え始められました。そして、平面と平面は、4次元空間内で、1点で交わることを、以下のような形で表されました。
$${(0,0,,)}$$
$${(,,0,0)}$$
気持ちはだいたい伝わりました。こういう場合は、以下のように書くことをお伝えしました。
$${x=0,y=0}$$
$${z=0,w=0}$$
(ほんとうは連立方程式としてタテに並べる書き方をお伝えしましたが、このブログにテフで載せる方法がわからず、いまこう横に並べて書きました。)
4つ目の文字は多く${w}$を使うこともお伝えしました。
つぎの授業のことです。現在、最新の授業です。まず私は、平面と直線の位置関係についておたずねしました。この生徒さんは、直観的に、平面と直線の位置関係は、4次元では「ねじれの位置」があり得て、5次元以上ではもう増えない、と言っておられました。私は、4次元空間において、平面と直線がねじれの位置にあることを方程式で表してみることを提案しました。想定通りと言いますか、その生徒さんは、30分かからずに、以下のように書かれました。
$${x=1,y=0}$$
$${x=0,z=0,w=0}$$
よく書けています。これでいいと思います。(これでいいですよね?)
そこで、次の話題に行きました。だいたいこの、4次元空間で、より低い次元のユークリッド空間の位置関係の話題は一区切りがした気がしましたので、ほかにやってみたいテーマなどあるかどうかおたずねしたのち、とくになければ、ということで、円や球、それに対応する4次元の図形などの方面に向かおうと思い、ためしに、円の方程式を考えてみることにいたしました。その生徒さんは、中学修了くらいの知識をお持ちであり、三平方の定理をご存じで、円の方程式はご存じないのでした。これも30分かからずに、以下の式を書かれました。
$${x^2+y^2=1}$$
じつは私も、この生徒さんと同じ年齢のころ、円の方程式は自分で見つけています。私も今年で49歳となり、東大でも東大院でも、優秀な人をたくさん見て参りました。しかし、円の方程式を習う前に自分で発見するかたは、自分以外ではじめて見たことになります。しかも、発見する瞬間に立ち会うことができました。
この日は、1時間かからずに「大発見」が2つもありましたので、90分授業を終わる前におしまいといたしました。「たいへんよくできました」!
とても楽しみな生徒さんです。いい方向に伸びて行かれるように導くのは、私に与えられた責務であるようにも感じます。これからもご一緒に数学を考えていくことができたら、と思っています。
