自伝風の読み物 ⑯ 4次元における2直線の位置関係

前回の記事で、中学のとき、4次元のことについて考えていたことを書きました。同じく中学生だったあるとき、以下のことを考えました。

平面では、2直線の位置関係は

(1)ぴったり重なる

(2)1点で交わる

(3)平行

の3種類があり得るわけです。3次元の空間では、これに

(4)ねじれの位置

が加わるわけです。4次元の空間では、これに何が加わるであろうか。私は、「ハイパーねじれの位置」のようなものが加わるのだろうと漠然と想像していました。どのくらい考えたでしょうか。1か月くらい考えた気がします。あるとき気が付きました。「もう増えない」のです!2直線の位置関係は、5次元に行っても、6次元に行っても、上に述べた(1)から(4)までの位置関係しかあり得ないのでした。予想を裏切られたので驚きました。

直線は異なる2点で決まっています。すなわち、異なる2点を通る直線は1つ存在し、1つしか存在しません。これは平面上でも3次元の空間内でも同様です。また、1直線上にない3点を通る平面は1つだけ存在します。同様に考えますと、同一平面上にない4点は、ある3次元空間を定めています。

ここまで見ましたように、直線は2点で決まっていますので、2直線は4点で決まっています。とくに、ねじれの位置にある2直線は、同一平面上にない4点が定めています。そして、同一平面上にない4点を通る3次元空間は1つ存在するので、2直線は必ずある3次元空間に含まれていることになります。すなわち、4次元に行っても5次元に行っても、2直線は常にある3次元空間に含まれているので、3次元空間であり得た位置関係以上の位置関係はあり得ないのです。

これは当時、誰かに話したでしょうか。話しても通じない話だったと思います。高校や大学で話したでしょうか。大学以降は「一般の位置」という語を習い、これは常識の部類となりました。ここ数年、この算数・数学教室をやっていますが、言えば通じる方と、言っても通じない方がおられます。先月(2025年11月)、Xで東北大の長谷川浩司先生にこのときのことを話したところ、長谷川先生は、以下のように書かれました(再掲)。

お書き頂いたエピソードから、先生が数学における創造性を早くからお持ちだったのは間違いないかと思います。

n次元錐の体積やねじれの位置など、問を立てることすらなかなか初学者では辿りつかないものだと思います。問を立てる能力こそ研究には必要なこと、そのためには数学的自然についての感覚が必要なことなど、先生も御承知かと思いますが、教えられる以前に概ね理解されていたのではないでしょうか。

発見法的な方法で教育もできれば、学習者にとっても興味深いものとなり、印象にも残ることで長く有意義だろうと思う一方、時間を読みにくく学校という枠で実現することは中々大変かなとも思います。そのような葛藤で先生も苦しまれたのではないでしょうか。

修士論文の内容を世に出すことをお考えとのこと、有意義であり引用されるべき場面も末永くあるのではと思いますし、実はそれ以前に子供時代からいろんな段階でご自身が問われお気づきになった事実のいろいろについても、できればまとめていただけると大変面白く貴重な読み物になるかもしれません。(X、2025年11月7日)

長谷川先生のアイデアで、この「自伝風の読み物」の執筆を始めたわけですが、確かに、この「4次元においては、2直線の位置関係はいかなるものが増えるか」という問いは、自分で発したという人に、自分以外で出会わないものです。

同じように考えると、平面と直線は、4次元空間でねじれの位置が起き、それは5次元空間に行っても増えないこと、平面と平面は4次元空間で1点で交わることが起き、5次元空間でねじれの位置が起きることなどが分かります。

付け足しますと、1次元空間における点と点の位置関係は、(1)重なる、(2)離れている、の2種類しかありませんが、これは2次元空間でも3次元空間でも増えません。点と点が離れているのは点と点の「ねじれの位置」と言えるでしょう。同様に、平面上における点と直線の位置関係は、(1)点が直線に含まれている、(2)点と直線が離れている、の2種がありますが、これも3次元空間に行っても増えず、点と直線が離れているのは、点と直線のねじれの位置と言えます。

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