自伝風の読み物 ⑰ キロリットル

キロという単位は、小さいころから耳にしていました。重さと速さの単位でした。体重は何キロと言います。速さは、親の運転する自動車の速度メーターで「40キロ」というようなものを見ていましたし、以下のこともあります。ぼろぼろになるまで読んだ動物の図鑑で、見開きで動物の速さが比べてあるページがありました。動物たちがみんな左へ向かって走っており、左ほど速い動物がかいてありました。ブタが17キロ、ゾウが40キロ、キリンが51キロだったのをよく覚えています。このようなところでキロという単位に触れていました。

速さの「キロ」は時速何キロという意味で、もともとキロメートルは長さの単位であり、時速とは1時間で何キロ進むかを表しているものだ、ということはいつ知ったでしょう。チーターは時速100キロ以上出ていましたが、これは、チーターは1時間で100キロ進むわけではなく、瞬間的にその速さが出るのだ、ということも教わりました。この図鑑で、人間は36キロと書いてありました。そのころ世界的に足の速い人は100メートルを10秒で走っており(カール・ルイスだったでしょうか)、その速さでずっと走ると、600メートルを60秒すなわち1分で走り、6キロを10分で走るので、確かに36キロを1時間で走ります。私は非常に足が遅く、カール・ルイスの半分の50メートルも10秒で走れなかったので、この図鑑の、人間は時速36キロ、という記述に驚き、それではゾウ40キロ、キリン51キロというのも、世界的に最も速い個体の速さなのだろうと思いました(が、いまこうして幼少のころを思い出して書いてみますと、これは本当にそうなのか、生物学者に聞いてみねばわかりませんね)。

重さについて、小学校に上がるころの記憶に戻ります。動物図鑑とは別の本だったと思いますが、あるゾウの重さが12トンだと書いてありました。1トンが1000キロだと知った私は、このゾウは12000キロだね、と言って周囲の大人にやたら感心された覚えがあります。

大人に何度も、重さのキロ、速さのキロ、長さのキロについて聞いたと思います。重さのキロはキログラムで、グラムの1000倍。長さのキロはキロメートルで、メートルの1000倍だと知ったのです。ミリリットルやミリメートルの意味もわかりました。デシは${\frac{1}{10}}$で、センチは${\frac{1}{100}}$か。以下はおそらく小学3年生くらいの記憶です。

「キロリットル」という単位を思いついたのです。かさの単位で、リットルの1000倍です。

最初、1キロリットルは、はなはだ多く、学校のプールの水くらいあるのだろうと思っていました。1メートルに対して1キロメートルははなはだ長く、1グラムに対して1キログラムははなはだ重いからです。ノートの余白に(へたな)マンガを書き「1キロリットルの水です」と書いて、プールの水のような絵を描いたのを覚えています。どれくらい時間が経過したでしょう。よく考えてみると1キロリットルは、ぜんぜんプールの水ほどもないのです。1辺が10センチメートルの立方体の体積が1リットルであるので、3辺をそれぞれ10倍したもの、すなわち1辺が1メートルの立方体の体積が1キロリットルだったのでした。これはお風呂の水よりは少し多いでしょうが、プールの水よりずっと少ないのでした。「3乗」というもののものすごさを思い知ったときでした。

(私はついにキロリットルという単位は学校で習わなかった気がします。現代の小学生は、体積を習う小学5年生で、キロリットルという単位は習います。)

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