辞書の間違いを見つけた小学生の生徒さん

また、授業の様子を公開させていただきますね。公開に当たり、生徒さんおよび親御さんの許可は得ております。
小学校高学年の生徒さんです。毎回、さまざまな題材から自由な学びを続けておられます。前の回で、多面体について学びました。そのときは、正多面体の話をしようとして、正多角形の話となりました。
正三角形について説明していただきました。「すべての辺の長さが等しく、すべての角の大きさが等しい三角形」であるとおっしゃいました。これは、「すべての辺の長さが等しい三角形」と言っても正三角形の説明になり、「すべての角の大きさが等しい三角形」と言っても正三角形の説明になることを確認いたしました。いっぽうで正方形については「すべての辺の長さが等しい四角形」では説明にならないことを見ました。「すべての辺の長さが等しい四角形」というのは、ひし形になるのでした。以下の絵をご覧ください。(この記事の絵は、その生徒さんがかかれたものそのものではなく、私がこの記事を書くにあたってかいたものです。)

ここでその生徒さんとは、しばらくひし形の定義の話となりました。さまざまな自由な発想が出て驚かされました。この生徒さんはとても発想が豊かです。ひし形の話が一段落してから、先に進みました。
「すべての角の大きさが等しい四角形」というのも正方形の説明にはなっていません。これは長方形の説明です。以下の絵をご覧ください。

というわけで、正方形は「すべての辺の長さが等しく、すべての角の大きさが等しい四角形」と説明せねばなりませんでした。小学校2年生ではじめて正方形を習うところでは「かどが みんな 直角で、辺の長さが みんな 同じ 四角形を 正方形と いいます」と教科書に書いてあります。先へ進みました。
正五角形とは何か、説明してもらいました。その生徒さんは、辞書を引きました。この生徒さんは、辞書を引く習慣がおありです。(賢いお子さんは辞書を引く習慣があるのかな?とちょっと思わされますね。)辞書には、正五角形の説明として「すべての辺の長さが等しく、すべての角の大きさが等しい五角形」と書いてありました。すべての辺の長さが等しい五角形で、正五角形ではない(すべての角の大きさが等しいわけではない)五角形は、その生徒さんは以下のような絵をかかれました。確かに「すべての辺の長さが等しい五角形」では正五角形の説明になっていませんね。

いっぽうで、その生徒さんは「『すべての角の大きさが等しい五角形』で正五角形の説明になっていると思う」とおっしゃいました。私は、ではなぜ辞書には「すべての辺の長さが等しく、すべての角の大きさが等しい五角形」と書いてあるのか、おたずねしました。その生徒さんはしばらく考えました。「難しいな」と言いながら、意見を変えられ、(すべての角の大きさが等しい五角形で、すべての辺の長さが等しいわけではない五角形は)多分あると思う、とおっしゃいました。そして、最終的には以下のような絵をかかれました。すべての角の大きさが等しいけれども、すべての辺の長さが等しいわけではない五角形の絵です。(すごいですね!)

これで、正五角形の説明としても「すべての辺の長さが等しく、すべての角の大きさが等しい四角形」と言わなくてはならないことがわかりました。それで、つぎに正六角形です。これは簡単とその生徒さんはおっしゃいました。すぐに、すべての角の大きさが等しいけれども正六角形とはいえない六角形の絵をかかれました。以下のようでした。

もちろん、すべての辺の長さが等しい六角形で、正六角形とはいえない六角形の絵もかかれました。以下のようです。

教科書の「正多角形」の説明を読みました。5年生で習います。「辺の長さがすべて等しく、角の大きさもすべて等しい多角形を正多角形といいます」と書いてあります。ところが、その生徒さんが、辞書を引かれたとき、辞書の正六角形のところには「六つの辺の長さがすべて等しい六角形」と書いてありました。
これは、辞書が間違っているねという話になりました。角の大きさについての記述がありません。辞書が間違っていたのです!
その辞書は、学校で買うように言われた辞書だそうです。小学生向けの辞書であると思われました。私は、出版社に連絡すると、お礼の品が送られてくるかもしれないと伝えました。(教科書や辞書というものは、皆さんが、正しい情報が知りたくて、お金を払って購入するものです。おそらく図書券あたりが送られて来そうな気がします。)
その生徒さんは、辞書の間違いを見つけた小学生ということになりました。すごいと思います!
次回はこれを踏まえて、正多面体の話をしたいと思っております。いつもこの生徒さんとの授業はスリリングです。ありがたい生徒さんだと思っております。これからもご一緒に算数・数学の学びを続けて行きたいです。
