税込価格÷1.1=税抜価格(小学5年生の算数を学ぶ大人の生徒さん)

久しぶりに、当教室での授業の様子をご紹介いたしますね。掲載に当たり、ご本人様の許可は得ています。

1年半ほど前に入門なさった大人の生徒さんです。最初、高校生の教科書でスタートしましたが、この生徒さんは、非常に賢いことに気づきました。それと同時に、数学的な訓練は足りていないと感じましたので、小学4年生の算数の教科書に戻りました。以来、この1年半、小学校の算数の教科書に沿って学んで参りました。充実した授業が続き、2か月ほど前から、小学5年生の教科書に入りました。

別の生徒さんからうかがいましたが、小学5年生というのは、「割合という概念がわからなくなる」年代なのだそうです。確かに、数学(算数)が抽象化するのは、小学5年生くらいである気がします。この生徒さんとは、一歩一歩、意味を確認しながら学びを進めています。

教科書で「比例」を初めて習うところがあります。高さ3センチのレンガを、たてに2個積むと、高さは6センチとなります。3個積みますと、高さは9センチとなります。このように、レンガの個数を倍にすると高さが倍になり、レンガの個数を3倍にすると、高さが3倍になるようなとき、レンガの高さは個数に「比例する」というわけです。この生徒さんは「比例というものの認識が違っていた」とおっしゃいました。以来、この生徒さんは、比例というものをはっきり認識されたようでした。

教科書は、レンガの個数と高さで比例を導入した直後、小数のかけ算の単元に入ります。かけられる数が小数であるかけ算(かける数は整数)は、4年生で習いますが、かける数が小数であるかけ算は、この5年生で初めて習います。これは、比例という概念に基づいて教科書が書かれています。1メートルの値段が80円のリボンを、2.3メートル買ったときの値段を、リボンの値段が長さに比例すると考え、計算するわけです(80×2.3)。

この次に、小数で割るわり算を学びます。これも、小数を整数で割るわり算は小学4年生で習っています。教科書には、2.4メートルで96円のひもが、1メートルでいくらかという話が載っています。これは非常に難しいことでした。この生徒さんは、難しさを表明されました。私も、きちんと考えなければなりません。ホームページに「問題解決型というより伴走型」と書くからには、ご一緒に考えねばなりません。1回、教科書の先取りで、税込み10,000円の品物は、税抜きでいくらか、考えていただきました。これは、税抜き9,000円とすると、税込み9,900円なので、9,000円よりは高いわけです。これは現段階で難しすぎ、再び教科書に戻って、小数のわり算の意味を考えつつ、計算練習を積みました。

先日、この生徒さんは、その前の一週間に考えたことを言語化して来られました。教科書に、「0.8mのホースの重さをはかると、720gでした。このホース1m分の重さは何gですか」という問いが載っています。これは、もちろん720gよりも重いわけですが、これが「720÷0.8」という計算になることについて「その発想はなかったですね。習ったことはあるのでしょうけれど」ということをおっしゃっていました。教科書に以下のような図が載っていました。この、割ると大きくなる現象について、難しいということを言語化して来られたのでした。すごいことだと思います。

そして、それらをとりあえず認めて計算練習などしたあと、教科書には、「みずきさんの家からゆうびん局までの道のりは、みずきさんの家から公園までの道のりの1.5倍です。みずきさんの家から公園までの道のりは、何kmですか」という問いが載っていました。これを見て、この生徒さんは驚いておられました。1.5倍してある値になったら、その値を1.5で割るともとの値になることを、鮮明に理解なさったのです。税込み価格を1.1で割ると、税抜き価格になることも、鮮明に理解なさいました。先ほどの計算では、10000÷1.1です。「これは知らなかった。これも習ったことあるのだろうけど」とおっしゃっていました。

ありがたい生徒さんです。私も、その小学5年生の壁と言われるものは、ひしひしと感じていました。ときどきこうして突破口があります。これからも、ご一緒に考えながら進めて行きたいです。

あるとき、Quoraで見た話です。現役の小学生と一緒に、比例、分数、割合、比などについて学んだら、さぞや勉強になるであろうという話です。その通りで、多くの大人は、お子さんが3年生くらいになると、もうお子さんの算数は見切れなくなりますので、多くの大人の皆さんは小学2年生くらいの実力であろうと思われます。この、小学5年生の算数の教科書を、手順だけではなく、意味を考えつつ読み進めておられる大人の生徒さんはとてもすごいです。私も学びになっています。小数のわり算の意味が分かる喜びを味わいながら、これから先もご一緒に算数・数学を学んで行きたいです。

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