ストコフスキー指揮によるホヴァネスの交響曲第1番「追放者」ほか

これはまたクラシック音楽オタク話です。かなりマニア度は高いかもしれません。それでもよろしければどうぞお付き合いくださいませ。よく聴くCDの話です。

私が好んで聴くCDのなかでは、比較的、新しい部類に入ります。18歳から30歳まで、ストコフスキー狂となってストコフスキー指揮のCDを買い集めていた1994年から2006年までに買ったCDではないのです。それよりあとに買ったのです。このCDは、著作権が2009年となっています。出版も2009年であったようです。以下のような内容になっています。

ホヴァネス 交響曲第1番「追放者」

NBC交響楽団
1942年12月6日
アメリカ初演

ミヨー 交響曲第1番

NBC交響楽団
1943年3月21日
ニューヨーク初演

コープランド 交響曲第2番「短い交響曲」

NBC交響楽団
1944年1月9日
アメリカ初演

セレブリエル 交響曲第1番

ヒューストン交響楽団
1957年11月4日
世界初演

レオポルド・ストコフスキー指揮

少し、ホヴァネスの作品について、学生時代の話を書かせてください。

ストコフスキーは、ホヴァネスの交響曲第2番「神秘の山」を世界初演したようなのです。委嘱したのもストコフスキーらしい。私は、ストコフスキーの世界初演、あるいはアメリカ初演した曲にも多大な関心を持っていました。しかし、「神秘の山」の音源はなかなか聴けないのでした。当時はYouTubeなどSNSもない時代です。CDがなければ聴けないのです!近所の図書館にはリクエストをしましたが、そもそもCDが出ていないようでした。フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団のCDは、CD屋さんで見ました。しかしそれは金銭的な事情から買えないままでした。長い時間が経過し、ジェラード・シュウォーツ指揮のCDが国内盤で出ました!それを図書館でリクエストし、私はようやくホヴァネスの「神秘の山」を聴くことができたのでした。のちにストコフスキー自身の指揮するアメリカ交響楽団のライヴも入手できました。1966年11月20日のライヴで、「神秘の山」のほか、マクダウェルのピアノ協奏曲第2番、ブラームスの交響曲第1番でした(このブラ1もいい演奏なのでした)。なお先述の指揮者シュウォーツは当時、アメリカ交響楽団のトランペット奏者でした(そのストコフスキー指揮の「神秘の山」でトランペットを吹いているかもしれません)。いまは、CALAから出ている「彼の交響楽団」を指揮した1958年9月25日ライヴのCDを好んで聴いています。この日の他の演目である、ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第9番(アメリカ初演)、クレストンのトッカータ、リーガーの新しい舞曲など、聴きどころが満載のCDです。

(「神秘の山」とは、日本の富士山を意味するらしいです。)

それで、話は本題である交響曲第1番「追放者」に戻ります。私は長いこと、ストコフスキーが世界初演あるいはアメリカ初演したホヴァネスの作品として、「アド・リラム」「オルフェウスの瞑想」「世阿弥への瞑想」「詩編で主を賛美」「交響曲第3番」「高い岩からの眺め」しか知らなかったのです。これらはストコフスキー以外の演奏でも学生時代に少しずつCDを集めていました。「オルフェウスへの瞑想」は手に入ったものです。「交響曲第3番」はストコフスキー自身の指揮によるまさにアメリカ初演のときのライヴ録音が手に入りました。1956年10月4日のシンフォニー・オヴ・ジ・エアの演奏会のライヴ録音です(この日の他の演目としては、ハイデンのメモリアル、ヘルプスの「管弦楽のためのアダージョ」、キルヒナーのトッカータ、マルティヌーのピアノ協奏曲第4番があります。いずれもアメリカ初演ないし世界初演!)。しかし、交響曲第1番もストコフスキーがアメリカ初演していたとは!そして、そのライヴ録音が残っていたとは!そして、2009年にもなってそれがCD化されるとは!そのころすでにある地方都市でダメ教員として勤めていた私は、店頭でこれを見つけて、まさかと思ったのでした。

そして買って聴いてみてびっくりすることに、これがまた名曲、かつ名演奏なのです!誰にも信じてもらえないのですが、私の好きなホヴァネスの作品は、この交響曲第1番「追放者」、交響曲第2番「神秘の山」、そして交響曲第3番なのです。ホヴァネスはのちに交響曲を何十曲も書いたため、私がホヴァネスの好きな作品として「交響曲第1番」「交響曲第2番」「交響曲第3番」の3つを挙げると、まず本気にしてもらえないのです。しかし、ほんとうに私はホヴァネスの作品のなかでこの3曲が好きです。そして、いずれもストコフスキーの指揮した古い録音で楽しんでいます。交響曲第3番は、パソコンに取り込んで、授業開始前の時間調整音楽として重宝しています。まことにホヴァネスは大作曲家であり、ストコフスキーは大指揮者でした。

このホヴァネスの交響曲第1番がアメリカ初演された日のプログラムは、ほかに、バッハ=ストコフスキーの「巨人フーガ」、バッハ=ストコフスキーの「アダージョ」(トッカータ、アダージョとフーガの)、ワーグナーの「ジークフリート牧歌」、ラヴァレの「シンフォニック・ルンバ」となっています。

このCDに収録されたあとの3曲もすべて「交響曲」という題の作品であり、いずれもストコフスキーの時代に珍しかった曲となります(いまでも珍しい曲であるとも言えます)。しかし、さすがストコフスキーの選曲眼は確かであり、また、それを実際の音にするストコフスキーの腕前にも驚嘆せざるを得ません。

ミヨーの交響曲については、思い出があります。私が若いころ買ったウォルター・ピストンの管弦楽法の本に、しばしばミヨーの交響曲第2番が譜例として出て来ていたのです。しかし、繰り返しになりますがそのころはインターネットなどほとんどないわけです。私が学生時代に親しんでいたミヨーの音楽として、フルートを吹く人なら知っている「フルートとピアノのためのソナチネ」や「打楽器小協奏曲」などがありました(前者はニコレのCD、後者はストコフスキー指揮のCDに入っていたため知っていました)。しかし、まさかストコフスキーの指揮する交響曲第1番の録音が残っていようとは!この「みよいち」も好きになりました。ミヨーの独特の感性がうかがわれる名曲だと思います。

この日の演奏会の他の演目は、ムソルグスキーの「展覧会の絵」だったようです。この2曲だけだと短い気もしますが、短い演奏会だったのでしょうか。

そして、コープランドの「短い交響曲」です。コープランドの作品で私がストコフスキー初演だと長く信じて来たのは「舞踏交響曲」だけであり、このCDの出現は何重にも驚きだったのでした。そして、この「短い交響曲」もまた名曲なのでした。

コープランドのオーケストラ作品は「エル・サロン・メヒコ」をやったことがあります。基本的には似た感じの作品であり、これが「コープランド節」なのだろうと思いました。1997年に私がこの曲をやったときの話はブログ化したことがあります。最後にリンクをはりますね。

この日の他のプログラムは、アルベニス=ストコフスキーの「セヴィリアの聖体祭」、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、フェルナンデスのバトゥーケ、グアルニエリの「3つの小品」です。すごいですね!

最後に、セレブリエルの交響曲第1番です。これだけ、ヒューストン交響楽団のライヴです。ヒューストン交響楽団のストコフスキー・ライヴはあまり残りませんでしたので、これは貴重な記録となります。この作品はストコフスキー初演によることは学生時代から認識していました。ほか、セレブリエルの作品では、ストコフスキーは「悲歌的詩曲」を初演しています。これは学生時代に、セレブリエル本人の指揮するCDを図書館で見つけて聴いていました。私の友人は「テキーラみたいな曲だな(?)」と言っていたものです。(「あとから来る」と言いたかったらしいです。)これは、20分くらいの単一楽章の曲であり、シベリウスの7番やスクリャービンの「法悦の詩」、ハチャトゥリアンの3番などの仲間と言えるかもしれません。これも、2009年にして念願の曲が、しかもストコフスキーの指揮による世界初演ライヴが聴けたわけです。しかも、期待を裏切らなかった!

セレブリエルは、指揮者として、ストコフスキー編曲作品の普及に尽力した音楽家として記憶されるべき人物だと思います。セレブリエルは2024年現在、85歳で、活躍中であるようです。交響曲第1番は、セレブリエル十代の作品ということですね。

この日の他のプログラムは、ドビュッシーの古代碑銘、ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲(ソロはレナード・ペナリオ)、ムソルグスキーの「展覧会の絵」であったようです。先ほどから何度も出る「展覧会の絵」もストコフスキー編曲によるものでしょう。また、ラフマニノフのパガニーニ狂詩曲もストコフスキーが世界初演した曲です(ソロは作曲家自身)。この曲は、ストコフスキーはこのようにソリストを変えては生涯、指揮し続けました。

というわけで、極めてマニアックな記事だったとは思いますが、私の好きなCDの話でした。

最後に、私が1997年にコープランドの「エル・サロン・メヒコ」を演奏したときの記事をはりますね。よろしければそちらもどうぞご覧くださいませ。

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