自伝風の読み物 ㉔ 4次元の錐の体積、微分積分学の基本定理

本日の記事は、高校生のとき、積分を自分で発見した話ですが、あとから積分は習い、大きく記憶に上書きがなされていますので、当時のことを正確に思い出すことは非常に困難となっています。しかし、なるべく順を追って書きたいと思います。
2次元における面積、3次元における体積に相当する4次元のもの、つまり、4次元の空間を満たす量、については、おそらく4次元について考えていた中学のころから考えていたと思います。具体的に以下に述べる計算ができたのは、高校2年で理系のクラスに入って、物理を習ったことによります。私の高校では、理科は高校1年で全員が生物を履修しました。私は高校2年で物理と化学を選択しました。数学で微分および積分を習う前に、物理で以下のように微分に相当する考えを習ったわけです。すなわち、物理で、運動方程式を習いました。位置と速度、加速度の関係を習ったわけです。(おそらく物理と数学の教科書は、どちらを先に習っても大丈夫であるように書かれてあったのだと思います。)時刻がちょっとだけ経過すると、位置がちょっとだけ動く。位置が時刻の${2}$次式だとすると、速度が時刻の${1}$次式となるような計算も習ったわけです。この発想は非常におもしろいと思いました。この発想をうんと展開すると、面積や体積が計算できるのではないかと思いました。この発想を(24.1)とします。
当時、ノートに書いていた図が以下のようなものです。これは、2つの関数のそれぞれの微分係数の和が、2つの関数の和の微分係数となることに気づいてそれをチェックしている図です。つまり、私は微分という操作が線形であることを確かめていたことになります。なるほどなるほどと思いながらこの図を書いていたことを思い出します。

一方で、すでに書きましたように、以下のような発想は私の中にありました。「自伝風の読み物 ⑮」に書きましたように、中学のころ、4次元における立方体を、次のように考えたわけです。すなわち、線分があり、その線分を含む直線と違う方向に(垂直に)その線分を動かしてできる図形が正方形である。正方形があり、その正方形を含む平面と違う方向に(垂直に)その正方形を動かしてできる図形が立方体である。同じように、立方体があり、その立方体を含む3次元の空間と違う方向に(垂直に)その立方体を動かしてできる4次元の図形がある・・・と考えて正八体塊を発見したのでした。つまり、私には「〇〇柱」という発想はあったことになります。この発想を(24.2)とします。
以下の発想も当時あったことは「自伝風の読み物 ⑱」に書きました。線分があり、その線分を含む直線上にない点をとり、その点と、その線分上にあるすべての点を結んで得られる図形が正三角形である。正三角形があり、その正三角形を含む平面上にない点をとり、その点と、その正三角形上にあるすべての点を結んで得られる図形が正四面体である。同じように、正四面体があり、その正四面体を含む3次元の空間上にない点をとり、その点と、その正四面体上にあるすべての点を結んで得られる図形がある・・・と考えて正五体塊を発見したのでした。つまり、私には「〇〇錐」という発想もあったことになります。この発想を(24.3)とします。
発想(24.1)のアイデアは、微分(という言葉は当時習っていませんでしたが)の逆の操作をすれば、面積や体積は計算できるというものです。中学のとき、〇〇錐の体積は、〇〇柱の体積の${\frac{1}{3}}$であることはfactとして証明ぬきで習っていましたが、これを示すことはできました。(24.2)と(24.3)の発想から自然に以下のように考えられます。線分錐(三角形)の面積は、線分柱(長方形)の面積の${\frac{1}{2}}$であり(これは小学校のときに根拠ありで習ったものですが)、点錐(線分)の長さは点柱(線分)の長さの${\frac{1}{1}}$です。ここで、これが${4}$次元だと${\frac{1}{4}}$、${5}$次元だと${\frac{1}{5}}$であることも同じように示せるわけです。物理で、多項式の関数の微分の計算を習って知っていたからできる計算だったことになります。
このあと、数学の授業で正式に微分を習い、その逆の計算として積分を習い、積分をすると面積や体積が計算できることを習い、私の記憶には大きく上書きがなされたわけです。高校2年の冬ごろに、それまで4次元について考えたことは高校の「自由研究」という行事に出すためレポートにまとめましたが、その時点で、notationをはじめ私の頭には大きく上書きがなされた状態で執筆したと記憶しています(そのレポートは今のところ出て来ません)。
今考えますと、私は微分積分学の基本定理((24.1)の発想)を自分で発見したことになるのかもしれません。当時、思っていたことを2つ書きます。微分の発想から積分に相当するものを思いついたと言っても、私は、微分や積分が使われた、現代文明のさまざまな機器に囲まれて育った中で発見したのであるから、そもそも何もないところから微分を編み出したニュートンさんの偉大さとは比較にならないこと。しかしながら、あとから振り返ってみても、(24.1)の発想は、われながらよく出たなあと思うほど、非常に飛躍した発想であったと思うことです。これは、当時(高校2年のとき)振り返ってもすでにそう思いましたが、今考えてもそうです。たとえば、私の修士論文は、私が書いた中で最も創造的な書かもしれませんが、あくまでそれは、先行するいくつかの論文をていねいに読んだら当然のように出る結果であったとも言えます。それに比べると(24.1)のアイデアは、大きく飛躍した発想だったと思います。
当時は、自分のこの気づきが、高校生としてどれくらい稀であるのか、わかりませんでした。大学や大学院でこういった話はしませんでしたので(中学時代や高校時代の「武勇伝」を語るのはいかにも恥ずかしい気がしたわけです)、いまだにこれがどれくらい稀なのか、見当がついていません。確かに、習う前に積分を知っていた人には会ったことがないと思います。
(このたび、かつて自分の考えたことを振り返る機会をもち、どのような動機でこれらのことを考えたのかということを思い巡らすと、それは、4次元における体積を知りたいことだったと気づきます。(24.2)と(24.3)の発想はすでにあり、3次元の錐の体積は柱の体積の${\frac{1}{3}}$だというfactを知っていると、多項式の微分の計算からおのずと思いついたのだと思います。)
ここまで書いたら、以下は書かずもがなだと思いますが、当時考えた、4次元の錐の体積は4次元の柱の体積の${\frac{1}{4}}$となる計算を、現在のnotationで書きます。
(ここまでこれらの一連の記事をお読みになると、私は4次元の体積を表す言葉として「塊積」という言葉を編み出しそうに思えると思うのですが、塊積という言葉は編み出していません。そのレポートにまとめるとき、そのときの高校の先生が、「2次元で面積、3次元で体積というものに相当する言葉は、4次元、5次元でないでしょう。そういうときは『測度』というのですよ」とおっしゃったので、測度と書いたわけです。)
任意の3次元の図形を${A}$とし、${A}$の体積を${S}$とします。高さが${h}$であるような${A}$の柱の4次元の体積を${V_1}$とし、高さが${h}$であるような${A}$の錐の4次元の体積を${V_2}$とします。${V_1=Sh}$です。
${A}$の錐の頂点を原点Oとし、${A}$を含む3次元の空間に垂直に${x}$軸を取ります。${x}$座標が${x}$であるような3次元空間で${A}$の錐を切った切り口に現れる3次元の図形を${A_x}$とし、${A_x}$の体積を${S(x)}$とします(${0 \leq x \leq h}$)。${S(h)=S}$です。${A_x}$と${A}$は相似であり、相似比は${x:h}$です。したがって体積比は${S(x):S(h)=x^3:h^3}$です。

${V_2}$は以下のように計算できます。
$${V_2=\int^{h}_0 S(x)dx \\=\int^{h}_0 \frac{S(h)x^3}{h^3}dx \\=\frac{S}{h^3}[\frac{x^4}{4}]^{h}_0 \\=\frac{Sh^4}{4h^3} \\=\frac{1}{4}Sh \\=\frac{1}{4}V_1}$$
これで、4次元において、〇〇錐の体積は〇〇柱の体積の${\frac{1}{4}}$であることが言えました。
高校時代、4次元の球の体積も計算したことがあります。これは、数学で正式に積分を習い、置換積分のような計算技術を習ったのちのことになると思います(私は置換積分のようなものは編み出していません)。以下のような計算だと思います。
半径が${r}$の4次元の球の中心を原点Oとし、${x}$軸を引きます。${x}$座標が${x}$の3次元空間でその4次元の球を切った切り口は3次元の球になりますが(${-r \leq x \leq r}$)、その半径を${y}$とすると、三平方の定理から、${x^2+y^2=r^2}$です。つまり、その3次元の球の体積は${\frac{4}{3}\pi y^3=\frac{4}{3}\pi (\sqrt{r^2-x^2})^3}$です。

その4次元の球の4次元の体積${V}$は以下のように計算されます。
$${V=\int^{r}_{-r}\frac{4}{3}\pi(\sqrt{r^2-x^2})^3dx \\=2\int^{r}_0 \frac{4}{3}\pi (r^2-x^2)^{\frac{3}{2}}dx }$$
ここで${x=r\sin\theta}$とします。
$${V=\frac{8}{3}\pi\int^{\frac{\pi}{2}}_0 (r^2-r^2\sin^2\theta)^{\frac{3}{2}}\cdot\frac{dx}{d\theta}d\theta \\=\frac{8}{3}\pi\int^{\frac{\pi}{2}}_0 (r^2\cos^2\theta)^{\frac{3}{2}}r\cos\theta d\theta \\=\frac{8}{3}\pi r^4\int^{\frac{\pi}{2}}_0\cos^4\theta d\theta \\=\frac{8}{3}\pi r^4\int^{\frac{\pi}{2}}_0(\frac{1+\cos 2\theta}{2})^2 d\theta \\=\frac{2}{3}\pi r^4\int^{\frac{\pi}{2}}_0 (1+2\cos 2\theta +\cos^2 2\theta) d\theta \\=\frac{2}{3}\pi r^4\int^{\frac{\pi}{2}}_0 (1+2\cos 2\theta+\frac{1+\cos 4\theta}{2}) d\theta \\=\frac{1}{3}\pi r^4\int^{\frac{\pi}{2}}_0 (2+4\cos 2\theta +1+\cos 4\theta) d\theta \\=\frac{1}{3}\pi r^4 [3\theta +4\cdot\frac{1}{2}\sin 2\theta +\frac{1}{4}\sin 4\theta ]^{\frac{\pi}{2}}_0 \\=\frac{1}{3}\pi r^4 \cdot \frac{3}{2}\pi \\=\frac{1}{2}\pi^2 r^4 }$$
