自伝風の読み物 ⑦ 7が10個で70だ(かけ算の交換法則について)

私は小さいころ、体が弱かったです。いまでも弱いわけですが、小学1年のとき、小児科で、注射を受けることになりました。毎週1回、10週間にわたって注射を受けることになっていました。周囲の大人に言われて、私は10週間が何日であるか、計算し始めました。
当時の私はまだかけ算を習っていません。足し算は習っていました。私は、7と7を足しました。7+7=14です。2週間は14日でした。では、3週間は何日でしょうか。私は14に7を加えました。14+7=21です。3週間は21日でした。それで、4週間が何日であるかを知るために、21+7を計算し、28日でした。これに7を加え、5週間は35日でした。
たいへんな計算です。私は疲れました。あと5回、7を足さねばなりません。私はここで名案を思い付きました。5週間で、35日だということはわかったのです。10週間が何日かを知りたいのであるから、35と35を足せばよいではないか。(かけ算を習っていないので、35の2倍という発想はなかったことになります。)それで、35と35を足しました。35+35=70です。ついに、10週間が何日なのか、計算できました。70日です!これで喜んでいると、周囲の大人が言いました。「7が10個で70だ」。私は衝撃を受けました。「7が10個で70だって?10が7個で70ならわかるけど!これは偶然か?」
10が7個で70がわかるとは、以下のような意味です。10+10は20です。20+10は30です。これは、いかにも10というまとまりが7個なので、70になることは自然です。しかし、7が10個で70は信じがたいわけです。先に計算しました通り、7たす7は14であり、それに7を加えると21であるわけです。なんらかの規則性が見えるわけではありません。7が10個で70だと言われたときの衝撃は大きかったわけです。
これは、かけ算を習う前の話であり、この翌年に私はかけ算を習い、かけ算では交換法則が成り立つことを習ったわけです。このときの記憶から、かけ算の交換法則は自明ではないという認識があります。足し算の交換法則は自然に思えますが(かえる3匹にあと4匹を加えるのと、かえる4匹にあと3匹を加えるのは、同じく7匹になるというのは当たり前に思える)、かけ算の交換法則は明らかではない話でした。当時「これは偶然か?」と思っただけで、ここを深めることはしていません。もしかしたら、難しくて深められる前に、2年生になってかけ算の交換法則を習ったのかもしれません。10週間で、日曜が10個、月曜が10個、火曜が10個、・・・だから、10が7つで70日と考えられると当時の私に言ったらどういう反応を示したか、わからないものだとずっとあとになって思いました。
