東大受験専門の塾の講師の面接を一発で落ちた話

20歳であった1996年の4月、東大オケをやめ、その1か月後の5月に、いま思えば統合失調症の症状を出して、学業を休んだ1年のあいだのことです。寮の仲間に、塾講師のバイトの話をもらいました。
東大生にとって、塾講師バイトや、家庭教師のバイトというものは、非常によくあるものでした。しかし、私は一度も経験がありませんでした。せっかく高校までの、悪く言えばパズルのような勉強の世界から足を洗い、ほんものの学問に近づいているのに、わざわざ受験の世界へ戻るようなバイトは嫌だったのです。でも、このときは受けてみることにいたしました。
ある、大手の塾の塾長さんが経営している、東大受験専門の、小さい塾でした。たとえば数学の講師は、全員が現役の東大理学部数学科の学生だったりするのだそうでした。私も現役の東大理学部数学科の学生だったものですから「有資格者」ということで、その寮の仲間から誘われたわけです。その塾長さんの面接は、1996年10月23日でした。日記に書いてあります。30分くらいの面接で一発不採用となっています。
内容的には問題なかったので、おそらく「黒板のほうを見過ぎ」とかいう理由で落とされたのだろうと思います。
ところで、本日のブログ記事は、そこで出た問いの1つを紹介することに主眼があります。その面接では「その東大受験専門の塾で最もひんぱんに塾生から出る次の数学の質問2つに答えなさい」ということが問われました。いずれの質問もよく覚えていますが、うち2問目をいまから紹介しようとしています。つまり、この記事は、「数学がちがち」の記事なのです!ごめんなさいね。
次のような問いでした。
「空間内に、球面と平面がある。それらの式から1文字を消去すると、楕円の式となるのはなぜか」。
この問いの意味は、「球面と平面が交わっていたとして、その共通部分は円であるはずだ。それらを連立して1文字を消去すると、なぜ、楕円の式になるのか」ということだろうと思います。皆さんは、この問いにお答えになれますか?
私は、絵をかいて説明したと思います。これは、実際に単純なケースをお見せするのがいいかと思います。
球面を、原点中心、半径${2}$の球面としましょう。すなわち
$${x^2+y^2+z^2=4}$$
としましょう。そして、平面は、わかりやすく、
$${y=z}$$
としましょう。この2つの式から${z}$を消去してみましょう。平面の式を球面の式に代入して、以下のようになりますね。
$${x^2+y^2+y^2=4}$$
$${x^2+2y^2=4}$$
$${\frac{x^2}{4}+\frac{y^2}{2}=1}$$
いかがでしょうか。楕円の式ですよね?
おそらく、そこの塾生の皆さんは、もう少し複雑な状況でこの現象に出会っていたかと思いますが、単純なケースではこうなります。
私はちゃんと答えられましたよ。要するにこの式は、楕円の式というより、「楕円柱」の式なのですよね…。
しかし、面接は一発で落ちたわけです。
私は結局、12年の大学・大学院生活のなかで、このような受験産業のバイトはほとんどしなかったわけですが、もし、塾講師の経験があれば、自分にそれが徹底的に向いていないことがわかり、30歳のときに教員にはならなかったかもしれませんね。
ともあれ、28年前の話ではありますが、「球面と平面の式を連立して1文字を消去すると、なぜ楕円の式になるのか」という、「東大受験専門の塾」でよく出る問いの話でした!このあと私はあと半年くらい学業と音楽を休み、1997年度から学業に復帰することになります。本日は以上です!
