自伝風の読み物 ② 開集合、閉集合、位相

きのうの続きです。本日の話は、きのうの話より前で、幼稚園に上がる前の記憶だと思います。3歳ごろの話ではないかと思います。
物心のついた私は、紙とえんぴつを持って絵や字をかいていました。身のまわりには、絵のかいてある紙(本など)がたくさんありました。不思議なことがありました。以下のような絵があります。自分でもよくかく絵です。

缶詰のような、あるいは、コップのような絵です。円柱のような形ですが、実際にはこれは丸いのです(円)。ところが、この絵のように、紙にかくときは、「ながまる」なのです(楕円)。この現象について、長く考えていました。これは、現実の世界は3次元であり、紙(視界)は2次元であり、3次元のものを2次元に写してかくからなのだと思いますが、3歳くらいの私は、この現象をなんとも言えない気持ちで観察していたことをなんとなく覚えています。
それで、次のことも思いました。さきほどの絵でもそうですが、紙に絵をかくと、輪郭の線が、どうしても、太さを持ってしまうのです。線はどうしても太さを持ちます。えんぴつで書いたらそうなります。では、どうしたら太さのない線を表現できるであろうか。しばらく考えて、以下の考えに至りました。
手を向こうに向けました。どういう状況か、以下にさきほど撮った写真を載せます。当時は3歳の手であり、いまは49歳の手で、すみません。

手の向こうに、背景が見えます。手の輪郭と、背景の壁の境目。この線は、太さを持たないのではないか。世の中には、このように、太さを持たない線があるではないか。そのように思ったのでした。

(この話もあまり人に言ったことはありません。「線はどうしても太さを持つ」というふうにお思いになる方の話はときどき聞きますが、このように考えた人の話はほとんど聞かない気がします。)
あとからなんとなく漠然と思うことですが、数学で以下のような考えがあります。
実数(数直線)を切断します。${A}$と${B}$に分け、${A<B}$、${A\cap B=\emptyset}$とするとき、(1)${B}$の最小値が存在し、${A}$の最大値は存在しない、(2)${B}$の最小値は存在せず、${A}$の最大値は存在する、のいずれかであることを習います。同じことですが、先ほどの視界の話は2次元でしたので、2次元の平面(普通の位相が入っているとして)を、曲線が境界となって2つに分けている場合は、局所的に片方が開集合で片方が閉集合です。大学院に行っても、常に境界というものは意識しなくてはならないものでした。先ほどの手の写真で言いますと、手のほうが境界を含むのでしょう。(人間はコンパクトなのでしょうか。)
手の写真は物理的な現象を意味しており、一方で、いま書いた話は数学の話です。一緒にはならないと思いますが、私は小さいころから位相のようなものに敏感だったらしいことが分かるという記憶の話でした。(この話は書きながら思い出していましたが、確かに私は幼少のころからトポロジーっぽいものの捉え方をしていたようです。)
