自伝風の読み物 ④ メビウスの帯

幼稚園に通っていたころのことです。クリスマス会がありました。私は年中と年長の2年間、幼稚園に通いましたので、そのいずれかのときのことです。理事長先生とみんなから呼ばれている男性の先生がいました。その先生の出し物がありました。新聞紙を細長く帯のように切ったものの両端をはりつけました。アニュラス(円柱の側面の形)ができたわけです。先生は、それを、はさみで中央を切りました。以下のようです。

すると、細長い丸が2つになりました。これは、みんな想定内です。
つぎにその先生は、同じように新聞紙を細長く切った帯を取り、それを、180°ひねってくっつけました。メビウスの帯ができたわけです。これを先生は、さっきと同じように、はさみで中央を切りました。これはよく知られているように、大きなひとつの丸となったわけです。園児たちは驚きました。

そのつぎにその先生は、同じように新聞紙を細長く切った帯を取り、それを、今度は、360°ひねってくっつけました。これは、最初に作ったアニュラスと同相なものができていますが、3次元空間への埋め込み方が違うのである・・・と専門的に学んだときに認識しましたが、3次元空間への埋め込み方が違うので、先ほどとは違うものです。それを先生は同じように中央の線で切りました。からまった2つの輪ができました。園児たちは驚いて喝采しました。
これでその先生のクリスマスの出し物は終わりです。(先生はサンタに扮装されていたかもしれません。サンタさんは自分がサンタであると強く主張していましたが、園児たちはその人は理事長先生であるととっくに見抜いていました。)
この話は、私の心に残ったらしく、この数年後、小学3年生くらいのとき(つまり倍の年齢くらいになったかもしれません)、この現象は、絵にかいて説明ができるようになりました。
最初の、アニュラスの普通の埋め込みの絵ですが、以下のように、境界だけ考え、いわゆる変位レトラクトを考えるのです。すると、このアニュラスの境界は、2成分の自明な絡み目です。それが、このように絵にかくとわかるわけです。

つぎの、メビウスの帯のケースですが、これの境界の絵をかくと、以下のように、ひとつの大きな円となります。

最後の、360°ひねってくっつけた場合のアニュラスで、同じように絵をかきますと、以下のように、いわゆるホップリンクになります。

これが説明できるようになったときは、嬉しかったものです。いま考えると、私は確かに幼少のころからトポロジー的な発想をしており、かつ、長い時間をかけて考え、言葉にする能力を持っていたことになります。
