自伝風の読み物 ㉒ ノットイコール

以下は、高校生のときの話です。等号というものがあります。イコールと呼ばれ、左辺と右辺が等しいというものです。「${=}$」と書かれるものです。数学の先生が授業で、等式を書き、それが必ずしも等しくないという意味で、その等号の上にななめの線を引き、「${\ne}$」としてしまう場面がときどきありました。私はそのたびにどうも割り切れない気持ちになりました。「${\ne}$」(ノットイコール)という記号は「絶対に等しくない」という意味であるように見えるのに、先生は「必ずしも等しくない」という意味で黒板に書かれるからです。これは当時、うまく言葉にできなかった疑問のひとつでした。大学に入って、そのような記号の使い方をする数学の先生はいなくなりました。本日は「ノットイコール」についての小さな思い出でした。(私は「ゲーデル、エッシャー、バッハ」という本で、「すべての」や「ある」というものについてなじんでいましたが、多くの場合それは高校生には難しいとされていて、それでε‐δ論法のようなものは大学まで取っておかれるらしい・・・というようなことはずっとあとからなんとなく理解したことです。)
