仙台フィルのリヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲」を聴いた(2005年3月8日)

私は、いま思えば発達障害の二次障害である統合失調症によって、博士課程のとき、論文を読むと発作を起こすようになってしまい、ついに数学者になるのをあきらめ、中高の教員になろうとして奔走した時期があります。これは2005年3月に聴いた演奏会のお話ですが、そんな時期の最中に聴いた演奏会となります。とても印象に残る演奏会でした。
仙台フィルハーモニー管弦楽団の東京公演でした。すみだトリフォニーホールで行われました。
プログラムは以下でした。
北方寛丈・菅原拓馬 コラーゲンⅡ~2人の指揮者による~※、※※
リヒャルト・シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」
※※
リヒャルト・シュトラウス アルプス交響曲 ※
指揮 外山雄三 ※
指揮 梅田俊明 ※※
管弦楽 仙台フィルハーモニー管弦楽団
どうやら、「地方都市オーケストラ・フェスティバル2005」というものの一環であるようでした。
プログラムの表紙の写真を載せますね。

開演前に、いまでは当たり前のようにあるらしい、指揮者による「プレトーク」がありました。外山雄三さんが、開演前に、曲の解説をしたのです。音楽評論家のかたとの対談形式でした。
最初の曲は、北方寛丈さんと菅原拓馬さんによる合作で、日記には「ついに私より若い作曲家による作品で、指揮者が横に隣り合って並んで指揮している姿は前代未聞」と書いています。私はこのとき29歳、作曲家の2人は25歳くらいで、自分より若い作曲家の曲を聴くのがはじめてだったのです。この「コラーゲンⅡ」は、作曲家が2人、そして指揮者を2人、必要とする作品です。プレトークで外山さんも言っていましたが、有名な曲では、アイヴズの交響曲第4番がこのように指揮者を複数名要する作品です。それ以外に、なかなか指揮者を複数名、必要とする音楽はないだろうと思います。
(アイヴズの交響曲第4番は、通常は指揮者は2名だろうと思うのですが、この曲を初演したストコフスキーの指揮する世界初録音のCDには、指揮者の名前がストコフスキーを含め3人ぶん書いてありますので「複数名」というあいまいな書き方をしました。)
続いての「ツァラトゥストラはこう語った」はいまのところ生演奏で聴いた唯一の機会です。指揮者の梅田さんは、この曲を指揮するのは数回目であると言っていたと思います。じつは私にとって、この曲は、まだよさのわかっていない曲のひとつになります。しかし、ときどきこのブログでも書いております通り、ある音楽のよさがわかるのに30年を要したりするのです。私がこの演奏会を聴いて19年です。これからよさがわかるかもしれません。
じつは、開演前に、プログラムで、この演奏会はCD化されることを知りました。あとからでも買えるかと思ったのですが、そこにはレーベル等が一切書いてありませんでした。仙台フィルの自主制作の、入手困難なCDかもしれないと思った私は、その場でCDを購入することにしました。実際には普通に売りに出されたフォンテックのCDだったのですが、それにしてもいまは入手困難だと思いますので、買ってよかったと思っています。いまでもちゃんとかかるCDです。表紙をサムネイルに使わせていただきました。なかに2人の指揮者のサインがあります。以下です。

休憩後は、外山さんの指揮による、「アルプス交響曲」です。この曲も、生演奏で聴いた唯一の機会となります。これは大好きな曲であり、日記には生で聴いて感動したことが記されています。(こういうブログ記事を書いていて思うのですが、やはり演奏で生計を立てるプロの演奏というのはすごいですね。)この曲にはたくさんのバンダ(別動隊)が必要になります。プレトークで外山さんは、「かつてN響でやったときは、バンダが足りなくて、テープで流しました。きょうは本物が吹きますよ」と言っていました。プログラムを見ると、ホルンなどすごい人数であり、19人もいます(うち14人が賛助です。都響の笠松長久先生など、東京の演奏家の名前が見られます)。
サンダーマシーンという、雷の音を出す楽器など、はじめて見ました。プレトークで外山さんは「あれは気になるでしょうが、雷です。それほど気にしなくていいです」というようなことをにこやかにおっしゃっていたと思います。この曲はアルプスを登山するようすを描いた作品ですので、いろいろな楽器が登場するのでした。
先述の通り、演奏は感動的でした。前に仙台フィルを聴いたときにソリストをしていたティンパニのライナー・クイスマさんもいました。雷も鳴りました!そして、終演後に、バンダの皆さんがずらずらと登場なさるのを期待しましたが、出て来られませんでした。考えてみると、皆さんおそらく正装でなかったのでしょうね。
この演奏会のCDが数か月後に届いたわけですが、外山雄三さんの指揮するリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲は、あと2種類、聴きました。ひとつは、この演奏会よりもさらにあと、テレビで音楽大学フェスティバルという、都内の8つの音楽大学の学生さんの集まりの演奏会が放送されたのですが、そのとき外山さんが指揮し、この曲をやったこと、および、ナクソス・ミュージック・ライブラリで、若き外山さんがN響を指揮してこの曲をやっている録音を聴いたことです。後者はもしかしたらこの日のプレトークで外山さんが言っていた演奏会かもしれません。
外山雄三さんは、昨年(2023年)、惜しまれつつ亡くなりました。梅田俊明さんは現在もご活躍中です。仙台フィルさんも活発に活動をされているようです。
このあと私は就職活動をし、あちこちの学校を受けて、あちこち落ちる日々となりますが、この日はリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲ほかを堪能したのでした。この日の演奏会は学生時代の最後の貴重な思い出になっています。
(ブログに当日のプログラムおよびそのCDを用いることは、それぞれ主催のすみだトリフォニーホールさん、およびフォンテックさんの許可を得ました。)
