都留文科大のオーケストラを聴いた(1998年11月15日)

またクラシック音楽のオタク昔話となります。山梨県の都留(つる)に行った唯一の経験でもあります。よろしければどうぞお付き合いください。

1998年、院試(大学院入試)に合格し、11月3日には母校の高校のOBオケに参加しました。そこで、懐かしい仲間にたくさん会いました。オケを続けている人も多かったです。そのうちのひとり、2個下の後輩が都留文科大に進学しており、11月15日に定期演奏会があるからとお誘いをいただき、行って来たというお話です。

当時、私は教会に「デビュー」して間もないころでした。この日は日曜でしたが、教会学校では野外礼拝(いわゆる「遠足」)が行われようとしていました。朝9時に教会に集合とあり、私としてはテキパキと準備をしてちゃんと9時に教会に着きました。この日は、雲一つない晴れとなり、一日中すばらしい天気でありましたが、さすがに都留は遠いと思い、子供たちと一緒にニッキ味のコンペイトウなどいただいたのち、30分で教会を失礼しました。寮で少しゆっくりし、10時20分ごろ、少し早いかなと思いながら改めて寮を出て都留に向かいました。しかし、まったく早いということはなかったのです。(当時はインターネットも携帯電話もほとんどない時代であり、どこへ行くのもどれくらい時間がかかるかはすぐにはわからないのでした。)

新宿から京王線で高尾へ行きました。高尾山に行くときはここがゴールでありましたが、都留はここからが遠いのです。高尾の乗り換えで20分くらいあり、駅弁を食べました。大月までJRで、そこで乗り換えて富士急で谷村町(やむらまち)駅へ行きました。都留はとてものんびりした町でした。大きな山々に囲まれ、富士山は見えませんでしたがおそらく近くにあったことでしょう。先述の通り雲一つない快晴で、紅葉もしており、極めてすがすがしくてすばらしいのでした。町の皆さんも、東京よりもずっとのんびりしていて親切なのでした。人口密度が小さいと、対応する人間の数が少なく、自然にのんびりした雰囲気の町になるのではないかと感じたことが日記に記されています。

駅にポスターはありませんでした(そのようなものを手掛かりにホールを探さねばならない時代だったわけです)。午後2時開演で、その時点で1時半くらいになっており、あわてた私は必死であちこちに電話をし、そのホールが「うぐいすホール」と言われるホールであることを突き止めました。そのあと、親切なおばさんの助言で、タクシーを呼び、それで行くことになりました。それでようやく1時50分に着きました。山を登ったところに都留文科大はあり、その敷地内なのか、隣接しているのか、そこにホールはありました。空気はきれいであり、山々は近く、すばらしい環境でした。

さきほど2時開演と書きましたが、実は2時半開演でした。新しくてきれいなホールでした。応対がまたとてものんびりしていてのどかでした。

プログラムは以下です。

ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」

ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調

指揮 吉田悟
ピアノ独奏 早川恵美子

チケットは以下です。

演奏は極めてすばらしかったです。「”センスあふれる美しい演奏。掛値なしにすばらしい“とアンケートにも書いて来た。だって本当にそうなんだもん」と日記には書かれています。ドヴォルザークの8番における指揮の先生の、流れるようなテンポ感は非常に印象に残っています。また、「皇帝」ではオケの管打楽器の個人芸で冴えるものがありました。私を誘ってくれた後輩はずいぶんうまくなっており、絶好調であると見えました。

この時代、まだ協奏曲のあとのソリストのアンコールという慣習は一般的でなく、ソリスト・アンコールはありませんでした。休憩のとき、ソロの先生は、舞台ドレスのままロビーに現れておられました。

アンコールは2曲ありました。1つ目が「タイタニック」です。当時、大流行していた映画です。こういうサーヴィスはときどきあり、私も、スターウォーズが流行った年に、アンコールでスターウォーズを演奏した、という経験があります。しかし私はこの話題作の映画を見ておらず、残念ながら私にとってはありがたみのあまりないアンコールとなってしまいました。フルートのソロが印象的でした。2つ目のアンコールが、ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」のワルツでした。私のその後輩は、高校3年のときに「仮面舞踏会」組曲は文化祭でやっているため(私が大学2年のときに聴きに行きました)、これで二度目でしょう。

このころの日記は一日が長いです。じつは、院試に受かり、翌年から院生となるわけです。東大数理の厳しさは聞いていました。気の小さい私は、すっかり「びびって」いたわけです。そんな日記の中に出てくる、後輩の演奏を聴いた日だったのです。すばらしい演奏を聴きながら、いろいろと考えたあとが日記に記されています。

帰り、その後輩に会いました。やりとげたあとのいい笑顔をしていました。東大オケを途中でやめた私にはうらやましい限りでした。私もすっかり幸せな気分となって帰って来ました。帰りはもう暗かったです。行きにタクシーを使いましたので、帰りは歩きですが、途中で駅までの道がわからなくなり、コンビニで道を聞いたところ、コンビニの店員さんが、5分くらいの時間をかけて、ゆっくりていねいに、地図を書いてくださいました。ほんとうに都留という町はいいところですね。

これももう26年も前の話です。都留、いつかまた行ってみたい町ですね。

この翌日が、私がフルートのエマニュエル・パユのリサイタルを聴いた日なのですが、とにかくこのあたりの日記は長いです。悩みのなかにあるからです。私が22歳、パユも28歳くらいだったことになります。パユのリサイタルも鮮明な記憶がありますが、その昔話はまたの機会にいたしましょう。本日は1998年に都留文科大のオケを聴いた話でした!

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