2004年2月9日に初台で聴いたすばらしい演奏会

久しぶりにクラシック音楽のオタク昔話をいたしますね。2004年2月9日に初台のタケミツメモリアルホールで行われた、NTT東日本N響コンサートというものを聴いたのです。

私は、1997年3月24日に、サントリーホールで、外山雄三さん指揮、仙台フィルの東京公演を聴き、衝撃的な感動をして以来、すっかり外山雄三ファンとなりました。25歳のころ、病気で2年近く学業等を休んだ期間も含めて、東京に住んでいたあいだは、1年に1度「外山参り」と称して、外山雄三さんの指揮するコンサートを聴きに行ったものです。これは、2004年の「外山参り」です。

この演奏会は、前日に知りました。たまたまテレビをつけたら「N響アワー」をやっていました。ハチャトゥリアンのフルート協奏曲の、ランパルのフルート、岩城宏之さん指揮の、非常に見ごたえのある映像が放送されました。1977年、ランパル55歳の映像でした。番組の最後に演奏会の告知がありました。外山雄三さんが出演する演奏会がある!さっそく聴きに行くことにしました。

じつは、ローレンス・フォスターさんという指揮者が本来、指揮する予定であった演奏会だったのですが、フォスターさんは怪我で来日できず、外山さんが代わりに指揮をされたのでした。プログラムは以下です。

ブラームス 交響曲第2番ニ長調

ブラームス 交響曲第4番ホ短調

私は学生時代、N響の定期演奏会は何度も聴きました。東大数理のある駒場にNHKホールは近く、当日券は安かったからです。このたびは定期演奏会ではありません。NTT東日本N響コンサートというものでした。

当日の日記を見ますと、このころは25歳の大病よりもあとで、睡眠障害と格闘する自分の姿が書かれています。昼食と勉強ののち、初台に向かいました。5時には着いています。チケットは3,000円のが買えました。このホールは、これより6年前、神奈川フィルを聴いたときに来たホールです。(上述の仙台フィルの記事とともに、この1998年の神奈川フィルの記事も最後にリンクをはりますね。いずれも「外山参り」です。)その神奈川フィルのときの逆の席を取ろうとして、指揮者から見て左側の前列を取りました。開演は7時ですが、開場が6時であり、余裕があって助かったと日記には書いてあります。

外山さんのブログはチェックしていました。自分ではこのようなプログラムにはしない、と書いてありました。ブラームスの交響曲2つ、というような、山が2つあるようなプログラムは、自分なら組まない、という意味であるようでした。このプログラムは、本来の指揮者であるローレンス・フォスターさんが組まれたもので、外山さんはそれをそのまま踏襲されたのでした。またあるとき、テレビで海外のオケが、前半にブラームスの交響曲第2番、後半にブラームスのピアノ協奏曲第2番、というプログラムで来日公演を行ったのを見ましたが、そのときスタジオにいた外山雄三さんが、やはり、自分ならこういうプログラムにはしませんね、とおっしゃっていたものです。

(外山さんは逆に、短い曲がたくさんあるプログラムは好んで組んでおられました。日フィルのそんな演奏会を聴いたこともありますので、いずれブログでご紹介できたらと思います。)

最初に、NTTの司会者のアナウンスがありました。こういった演奏会はあまり聴いたことがなくて新鮮でした。間もなく演奏が始まりました。ブラームスの交響曲第2番です。

どうしても自分の楽器であるフルートは気になってしまいます。この日はかの名人、故・中野富雄さんでした。それから、位置からして、指揮者がよく見えたほか、ホルンやティンパニがよく見えてよく聴こえる席でした。

中野さんは、木製のピッコロを持って登場なさいました。「?」。ブラームスの2番にピッコロはないはずですが・・・。2番フルートのかたは、ピッコロは持たずに入って来られました。

ブラームスの交響曲第2番は、圧倒的な名演奏でした。すばらしいものでした。

少しポイントを挙げますと、第1楽章に、以下のような長くて有名なホルンのソロがあります。これを、樋口さん(とおっしゃったと思います。当時のN響の首席ホルン奏者のかた)が、見事な演奏を披露したのです。すばらしかったです!

このソロの終了のあと、ティンパニのかたが、太鼓の面を、音がしないように、バチですりすりするのが見えました。「ブラボー」ということでしょう。ティンパニはホルンより後ろにいますが、ホルンのかたには、楽器に反射して、そのティンパニのかたの「すりすりブラボー」が見えるのだと思います。それくらい、すばらしい演奏でした。

もうひとつポイントを挙げるとしますと、終楽章のインテンポぶりです。これがさすが外山雄三さんらしいところです。以下のところなど、ティンパニのかたは、迷いなくインテンポで行っていました。外山さんがどうしたいか、オケの皆さんは熟知なさっていたのでしょう。

最後の以下の場面では、ちょっと大げさに書いてしまいましたが、このような、少しあいだをあける演出がありました。おもしろい独特の効果をあげていました。あとから例の外山さんのブログを見ますと、練習中、ヴィオラの店村さんが、飛び出しそうだと笑いながらおっしゃっていたそうです。確かに飛び出しそうですね(笑)。

最後の最後は、外山さんの圧巻の指揮ぶりが強烈な印象となって残っています。すばらしいブラームス2番でした。

休憩となりました。

後半です。ブラームスの交響曲第4番です。この曲の2番フルートはピッコロに持ち替えますので、当然、2番フルートのかたは(金属製の)ピッコロを持って登場なさいました。1番フルートの中野さんはまたピッコロを持って登場なさいました。不思議な現象です。

こちらの第4番については、あまり強い印象が残っていません。やはり外山さんがブログに書いていたように、こういう場合、(少なくとも外山さん指揮の場合?)前半の交響曲第2番で「出し尽くして」しまうものなのかもしれません。第4楽章の中野さんのフルート・ソロは安定した見事なものでした。

そして、この演奏会にはアンコールがありました。ブラームスのハンガリー舞曲第4番でした。嬰へ短調で演奏されました。当時、私の持っていたヴェラー指揮のCDではへ短調でありましたので、衝撃を持って受け止めました。(いま、YouTubeで改めて聴いてみましたら、この曲、嬰へ短調の演奏もけっこうありますね。)外山雄三さんらしい、ねばっこい演奏でした。

このアンコールで、フルート2人が、いずれもピッコロに持ち替えるのだったのです!中野さんの前半は、間違えて持ってきた、ということだったのでしょう。

ずっとのち、外山雄三さん指揮、大阪交響楽団で、ブラームスの交響曲全集のCDが制作されました。私も買いました。いまここにあります。ブラームスの交響曲第2番と第4番は同じ日のライヴ収録です(2021年10月22日)。ネットによると、この日と同じ、前半にブラームスの交響曲第2番、後半に第4番であったようです。これほど外山さんがお好きでなかったプログラム。なぜこのようなプログラムが組まれたのか、興味は尽きないものがあります。

「なんにせよ大満足、大変よい演奏会であった」と日記には書かれています。帰りに新宿のロッテリアで350円くらいの夕食をいただき、この日はおしまいとなっています。まだ微妙に数学者の夢をあきらめきれておらず、苦しいころの日記です。でも貴重な1日でした。

最後に、1997年の仙台フィル、1998年の神奈川フィルの「外山参り」の記事のリンクをはりますね。

(今回のブログのサムネイルは大阪交響楽団によるブラームス交響曲全集のCDのジャケット写真です。大阪交響楽団さんに使用許可の快諾をいただきました。ありがとうございます!)

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