1分間で何ができるか

小学3年の教科書で、「時間と時刻」を学ぶ単元があります。「1分間で何ができるか、いろいろ試してみましょう」と書いてあります。1分間で歌をどれくらい歌えるか、1分間でいくつまで数えられるか、1分間で何文字書けるか…。私はここで、「1分間あればできること」の例のひとつを挙げたいと思います。
よくツイッター等でケンカと言いますか、言い合いが起きたりします。あれは口ゲンカの感覚で皆さんやっておられるかもしれませんが、「SNSでの言い合い」は口ゲンカとは決定的に違います。口ゲンカは瞬発力を問われます。サッと言われたらパッと返さねばなりません。私に瞬発力はありません。教員時代、生徒がサッとなめるようなことを言ったときに、パッと返すことができず、そうして授業は崩壊していくのでした。事務員としてたびたびパワハラを受けたのも、とっさに言い返すことができないからでした。
しかし、たとえばツイッターの「言い合い」は、1分間でも待てるのです。リアルの口ゲンカで1分待ってもらうことは不可能です。しかし、1分待たせて冷静になりますと、相手の非論理性を見破ることができます。5分待ってもいいわけですし、12時間待ってもいいわけです。これは、口ゲンカとは大きな違いです。
もうひとつ、「書いたものが残っている」という大きな特徴があります。口ゲンカですと「お前さっきそう言っただろ」「いやそんなことは言っていない」「いや言った」という、「言った」「言わない」の不毛な言い争いになりがちです。それが、たとえばツイッターであれば、一見、口ゲンカのように思えますが、じつはすべて書き残されており、「言っていない」ということが明らかになるのです。このように、1分待つことができるだけで、だいぶ論理的になれます。私は口ゲンカはものすごく弱いですし、メンタル的にも打たれ弱いですが、SNSの悪口に負けたことはありません。ほとんどの場合は相手のほうが非論理的です。
私にはシンパもアンチもいますが、アンチをそれほど恐れなくてすんでいます。リアルの世界では非論理的でも声の大きいほうの人の意見が通ってしまいますが、このようなインターネットの世界では、論理的なほうの勝ちなのです。
(だいたい学術の世界がそうでして、「長い時間をかけてよく考える」ほうが向いている人が学問的です。博士論文は普通、3年かけて書きます。もっと身近なところで言えば、東大など「いい」と言われる大学の入学試験ほど、「少なくて難しい問題を長い時間で解く」ことを要求されます。「多くて易しい問題を短い時間で解く」のはあまり賢いテストとは言えないだろうと思います。後者は瞬発力を問うています。私は「早押しクイズ」のようなものは苦手ですよ。)
というわけで、皆さんがもしYouTubeなどをなさっていて、コメント欄にひどいことを書かれたとき、あるいは、SNSでひどい悪口を書かれたときなども、少し冷静になって論理的になりましょう。たいていは相手のほうが非論理的です。ネットで誹謗中傷を書かれて自殺などなさいませんようにね。「1分待たせられる」のは強力な武器です。
そして、論理の力を養うのが数学です。当教室では、物事を基礎から論理的に考える訓練をしています。これからの時代に必要になるスキルだと思います。よろしければどうぞご入門くださいませ!