身長と体重は比例していない

英会話スクールの宣伝で、いっさい英語が使われていないことには、だいぶ前から気がついております。算数・数学教室のブログで、算数や数学の話を出すことの是非は、私には分からないのですが、本日は出してみます。
小学校で「比例」を学びます。2つの変化する量(「ともなって変わる量」と書かれていますね)があって、片方を2倍するともう片方も2倍、片方を3倍するともう片方も3倍になるようなものです。例としてどのようなものが思いつきますでしょうか。水1リットルの重さが1キログラムですが、これは水を2リットルにすると重さが2キログラムとなり、水を3リットルにしますと重さが3キログラムになります。水の体積と重さは比例しているようです。
円の直径の長さと半径の長さはどうでしょうか。直径が2センチメートルだったら、半径は1センチメートルです。直径が4センチメートルだったら、半径は2センチメートルです。直径が6センチメートルだったら、半径は3センチメートルです。これも比例していると言えそうです。(このように、たった3つの例を挙げただけでそれが強引に比例であると言ってしまうのは、ちょっと乱暴ですよね…書きながらそう思っています。)
世間では、片方が増えるときにもう片方が増える場合に「比例」と言っているようです。ある牧師さんが「信仰と献金は比例する」と言っていました。これはちょっとね(笑)。まず信仰って数値化できないですし、「信仰が2倍になったら献金も2倍になるの?」と言いたくなります。「あくまで傾向の話である」ということも忘れず言う必要があるでしょうしね。では、以下の例はいかがでしょうか。
正方形の1辺の長さと面積は比例しているでしょうか。じつはこれは比例していません。正方形の1辺の長さを大きくすれば面積は大きくなるわけですが、比例ではありません。1辺の長さが1センチメートルのとき面積は1平方センチメートルですが、1辺の長さを2センチメートルとしますと、面積は4平方センチメートルとなって、片方を2倍したときに、もう片方が4倍になっていますので、これは比例していないわけです。面積というものは基本的に「タテかけるヨコ」なので、2×2で、4倍になるのです。
先日、楽譜を書いていまして、1ページにおさめてほしいというご依頼で、2ページになってしまったことがあります。その楽譜作成ソフトの縮小のやりかたを調べ「50%」としたら、1辺が半分になってしまって、全体が${\frac{1}{4}}$倍されてしまいました。これは、2回かけたら(2乗したら)${\frac{1}{2}}$倍にならなくてはならないですので、${\sqrt{\frac{1}{2}}}$倍だったのですね。これで分母を有理化して${\frac{\sqrt{2}}{2}}$倍で、1.414÷2だということで、71%にしたらぴったり1ページにおさまりました。中学数学がちゃんと役に立ちましたね。(コピー機に「71%」とかあると思います。この数値ですね。)
では、立方体の1辺の長さと体積は比例するでしょうか。これも、1辺の長さを2倍にしますと体積は8倍になりますので、比例していません。タテかけるヨコかけるタカサだからですね。体積は長さの3乗のペースで増えていきますね。
人間の形が常に同じではありませんが、以下はだいたいの傾向の話です。先ほど、水の体積と重さが比例しているのを見ました。だいたい人間も体積と重さが比例していると見ましょう。そして、長さの3乗に体積が比例しているのです。だいたいの話ですけど、身長と体重は比例していないわけです。身長が1割増しだとすると(1.1倍)、体積すなわち体重は1.1の3乗倍で、だいたい3割ちょっと増しだと考えられます。私は背の低い人間ですが、自分よりちょっと背の高い友人の体重を聞いてみて、重くてびっくりすることがあります。「え?70キロもあるの?」という感じです。「大谷翔平さんは90キロもあるの?」などですね。ご経験はございませんか?
もう少し蛇足を加えますと、ドラえもんの道具で「スモールライト」「ビッグライト」というものがあります。ウルトラマンも縮尺がそのままで巨大化していたと思います。もしもビッグライトを当てられて、長さが100倍になったとしますと、体積すなわち体重は、100×100×100で、100万倍となります。重くてとても立てないのではないでしょうか。
以上でした。それほどおもしろくなかったら、今週のブログはハズレということで、どうぞおゆるしください…。